何気ない笑顔だけで人を救うことができる、というはなし

自分の中ですごく大切なことだと思ったので備忘録メモ。

なんかわかんないけど調子悪いなー、っていう時期がある。特別なにかがあったわけでもないけど朝起きるのが苦痛だなとか、毎回電車逃しちゃうなとか、なんとなくぼーっとしちゃうなとか。

26年間付き合ってきても未だに自分の機嫌の取り方がわからなくて右往左往する。だいたい時間が解決してくれるっていうのもわかってるけどやっぱり毎回ジタバタしちゃう。

そういう、なんとなく不調なときにやってみることのひとつにゆっくりひとりランチをする、というのがある。ちょっといいランチを食べて少しだけ好きな本を読んで、そうするとパリッと気分転換できることが多いので不調なときはまずこれを試してみることが多い。

今日もそろそろひとりランチで充電のタイミングかな、と思って本を片手にランチ場所を求めてさまよった結果、前に一度行ってなかなかおいしかったアジア料理のお店に入ってみた。

前にきたときの印象は可もなく不可もなく、そのお店に決めたのは本当にたまたまだった。

入った瞬間、まさに"人好きのする"という形容詞がぴったりな店員さんに笑顔で迎え入れられて、思わずこちらも笑顔になってしまう。
そのとき自分の顔の筋肉の動いたのを感じて、ここまで難しい顔をして歩いてきたことに気づいた。

注文のときも終始にこやかで、接客用の笑顔じゃない心からの笑顔で温かく応対してくれて、肩の力がフーっと抜けた感じ。
親戚のおばちゃんとか友達のお母さんと話してるような感じ、というのが一番近いかな。

その店員さんはインドネシアかフィリピンあたりの東南アジア出身の方のようで、彼女のまわりだけ南国特有のほわーっとしたアットホームな空気が流れてるのを感じた。

別になにかあったわけでもないのに、その空気にあてられて安心したのかものすごい勢いで涙が溢れそうになって、こらえるために運ばれてきた麺をひたすらにすすった。いつもならスマホをいじりながら食べたりするのに(お行儀が悪い)。

帰り際も「難しい本読んでますねー、お仕事がんばってねー、いってらっしゃーい!」と明るく送り出してもらい、午後もがんばるぞー!とリフレッシュした気分でオフィスに戻ることができた。
たった1時間弱のあいだのできごとだったけれど、わたしの中で深く心に刻まれた一件だ。

悲しいときや辛いことがあったとき、家族や友人や恋人や、近しい人達に話したり慰めてもらったりして気分が晴れることってたくさんあると思う。

でも言語化できないもやもやとか、言葉にすると自分が小さい人間に思えてしまうようなちょっとした傷も確実に心に溜まっていっていて、それを抱えたまま発散しないでいると近しい人達にむやみやたらと八つ当たりして自己嫌悪になって、負のループに入ってしまう気がする。

今日対応してくれた店員さんはわたしが抱えるもやもやや気分が落ちていることなんて1mmも知らない。知らないからこそできる対応もあって、それはあっけらかんとした明るさや軽やかな優しさだったりする。

落ち込んでいる事情を聞いて慰めてほしいときもあるけど、逆にそれが重荷になることもあると思う。

だからこそ、なにも事情を知らない見返りのない優しさや明るさになによりも心救われる瞬間というのがある気がする。

彼女はきっとわたしのことを「難しい本を読んでる不思議なお客さんだったな」くらいにしか思っていないと思うけど、そういう距離感がありがたいときもある。

彼女への感謝をじんわりと胸に抱えながら、ふと自分も彼女の立場になる瞬間があるのではないか、と思った。

なんとなくテンションが上がらないときにわたしと会って元気になった人がいるかもしれない、何気なく発した一言が支えになったかもしれない。
もしかしたらあの店員さんも実は不調だったけどわたしがお客さんとしてきたことで元気になったかもしれない。

不調なときは自分のことばかりに意識が向いてしまうけど、気づかないうちに自分も誰かを癒し支えているのかもしれないと思うとコンビニの店員さんにも満員電車で隣になった人にも元気を分け与えられるような人間でありたいと思う。

1日1人を笑顔にするというわたしのミッション。
明日も知らず知らずのうちに誰かを笑顔にしているわたしでありたい。

サポートからコメントをいただくのがいちばんの励みです。いつもありがとうございます!