アンフォラか、クヴェヴリか
ワイン会にジョージアのクヴェヴリ製法で造られたワインを持ち込んだところ、何人かの方から「アンフォラですか?」と訊かれ、はじめのうちは「はい、そうです」と答えていたのですが、どうも違和感があったので調べてみました。
だってアンフォラだなんて、語感が全然グルジア語っぽくないじゃないですか?(と偉そうにいっても当時私の知ってたグルジア語なんて「チャホフビリ」と「チャシュシュリ」と「ピロスマニ」くらいですが・・・)
アンフォラはラテン語で、ギリシア語の "Αμφορέας" に由来し "amphi- (両側に)" と "pherein (運ぶ)" から派生した "phoreus (運搬器)" とが結合してできた語だそうです。
一方クヴェヴリはというと、ネットなどで調べても見つからないのでジョージアの研究者の方が来日した際にネイティブに聞いてみたところ「現代グルジア語には "Qvevri" という言葉はなく、"Qvev" みたいな「下の方に」という方向性を示す言葉があるので、それに"~ri (~のもの)"という接尾辞がついた単語ではないか」とのこと。 「下の方に(置くもの)」が転じて「土の中に埋めて使うもの」となったと考えておけばよいみたいです。
クヴェヴリとは素焼きの甕の中に蜜蝋が塗ってあるワイン醸造用の容器です。蜜蝋をコーティングして密度を上げることでワインの流失を防ぎます。ワインの蔵元によっては蜜蝋を好まない事から、あえて素焼きの物を購入する蔵もあるのだとか。更に外側には強度を高めるために石灰やセメントが塗られます。 クヴェヴリの底の先端が尖っているのは、埋めたときの土の重さへの耐久性を高めるためだそうです。
ちなみにスペイン内陸カスティーリャ=ラ・マンチャのヴァルデペーニャには「ティナハ」という、同様の素焼きの壺がワイン造りに見られます。イタリア語だと「テラコッタ」ですかね。それぞれ素焼きだったり陶器だったり、土中に埋めて使ったり、木枠にはめて地上で使ったり、少しずつ違うみたいです。
よろしければサポートお願いします。いただいたサポートはワイン関連書籍の購入費などに使わせていただきます!