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つゆ空に揺れる雨傘

もう一生会わないんだろうな、って思った。
あたしから言い出したらお別れなのに、そんな感傷が胸に広がる。
これは後悔なのかな。

彼があたしの心をしっかりと掴んでいてくれる間は、強い雨も強風も平気だったよ。
彼を守ってあげられた。
それがあたしの役目だと思ってたし。
知らず知らずのうちに彼の手の力が弱くなって、わたしは風に飛ばされた。
公園の植え込みに逆さまに落ちたあたしに雨水がたまっていく。
傍らにたたずんで、じっと見つめる彼。
なぜ、すぐ拾い上げてくれないの?
雨はずっと降り続くかもしれないのに。

誤解されたくないのは、彼はあたしを大切にしてくれたとっても優しい人だってこと。
わたしが転んで骨を折った時も仕事終わりに顔に見にきてくれた。
だから彼の悪口は言わないで欲しい。
言っていいのはあたしだけ。
心の底から愛してた。

別れたくないけれど、あたしはもう彼の心を見失った。
彼にもあたしが見えていない。
これ以上一緒にいたら、不幸になるだけだと思う。
だから涙をこらえて言いだした別れ。

彼と死ぬまで一緒にいたかったのに。
彼との別れを決めて、誰にも聞こえない大声で泣く。
さようなら。
生まれ変わったらぜったい傘なんかに生まれない!
そしてまたあなたと出会いたい。

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