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溝を飛び越えて!(590字)

おっちょこちょいで落ち着きのない子供だったので、非常に怪我が多かったのです。
大人になっても変わらず、最後には大腿骨を骨折しました。
そんなアホタレのケガ人生の始まりのお話し。

名古屋の新興住宅地に住んでいました。
伊勢湾台風で住むところをなくした人たちのために建てられて市営住宅だと聞きましたが、昭和35年ころの建築にしては風呂までありました。
二階建ての木造で、長屋風に横4列に並ぶ体裁です。

山なので大量に水が出るのでしょう、立派な側溝がありました。
深さは1.5m、幅1m。
子供なんてアホやから飛ぶわけです。
1m程度ならさすがの小学校低学年でもほぼまたぐ感覚だったはずですが、それを何とミスったバカがいました。
あごを打って、口の中を噛んだのか、口から血を流している。
医者に行った記憶もないので、多分ケガ自体はひどくなかったのでしょうが、子供には衝撃でした。
55年たったいま、衝撃を感じたという現実だけを記憶しています。
あとは飛ぶ前の風景。
「ちょっと怖いな」と感じたことも思い出しました。

その側溝に蓋がされたのは、まだずいぶんと後のことでした。
車が落ちたこともあったけれど、当時はまだ自己責任意識が強かったのでしょうねー。
今は何でもすぐ他人の責任にしますが、他に落ちた子供がいなかったということは、落ちたやつがアホなのです。
そういう時代でした。
でも今よりもずっと生きやすい時代だったなあ。

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