恋する金星

今夜さあ、すごく視線を感じるんだよ。
なんだろな、昨夜飲みすぎたからか?
おれはいつもと全然変わりない夜を過ごしてるんだけどな、熱い視線を感じるんだな。
位置的には地球からだ。ビシバシ来るんだよ。
時折ハートマークも飛んで来るんだよ。
おれ、ジュピターだよ、どんなキャラクターか知ってっか?
Wikipediaで調べてみろよ。
ハートマークなんか飛んで来るはずはねえんだ。

なに?
「今夜は月の上に宵の明星がとても美しいです。みなさんで観察してみましょう」
電波だ、電波だ、電波が飛んでくる。
心得違いすんな。おれは金星だ。
暴れ者ジュピターだ。
「美しい」なんて言われたって喜ぶほど軽くねえんだよ。

うわっ!
ハートマークがおれの胸に突き刺さってる!
いてぇよお!いてぇよお!
あ、溶けて体の中に入ってくるぞ。
あー、なんて気持ちいいんだ、この感覚。
まあいいさ。
でもおれは金星。

美しさを愛でてくれ。
あとで月を口説いてみるかな!

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