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テックカルチャーを強固に保ちつつ組織をつくるための心がけ

テックカルチャーがある企業とない企業の違い

テックカルチャーというと、いわゆるアメリカ西海岸のスタートアップやGAFAなど近年急成長しているテクノロジー企業のカルチャーをイメージする方が多いかと思います。テックカルチャー自体に明確な定義はないものの、ある企業がテックカルチャーか否か の印象は、エンジニアだけでなくビジネス職の方も自然ともっているのではないでしょうか。
そこで今回は、テックカルチャーがある企業とない企業の違いに対する私なりの考えを書きました。また、私が共同代表を務める Ubie はテックカルチャーの企業であると(勝手に)自負しており、テックカルチャーとしての要素についても記述します。


テックカルチャーがスタートアップにとって重要な理由

米国だけでなく日本においても、急成長しているスタートアップの多くがテックカルチャーを重視しています。テックカルチャーが指すものは、テクノロジーをプロダクトに注入したり、有効にビジネスで活用することだけではなく、戦略や組織としての考え方にも影響してきます。Culture eats strategy for breakfast とピーター・ドラッカーが言うように、カルチャーから生まれた戦略によってビジネス上の大成功を収めてきた企業が、西海岸のスタートアップにも数多くあります。既存のテクノロジーでビジネスを作っていく上で、またテクノロジーに強い人材を惹きつけて組織成長していく上でも、戦略のみならずカルチャーにテックカンパニーの要素を注入していくことが重要です。


テックカルチャーの組織は Business 職種も含めてテックカルチャーである

テックカルチャーというと、エンジニア組織のみが該当し、そこがビジネス組織と分かれていると考える方もいるかもしれません。しかし私は、組織はメンバーの職種に関わらず単一のカルチャーを持つべきであるし、拒んでいても最終的にはそうなってしまうと考えています。上述のように、全社としての意思決定や戦略もカルチャーと大きく紐付いており、カルチャーによって戦略が変わる場合が大きくあるからです。そのため、例えば営業カルチャーも残しつつテックカルチャーのいい部分だけ取るということは、逆も含めて難しいと考えています。

ここから実際に Ubie でテックカルチャーを根付かせ、強固なものにしていくためにやってきたことを挙げます。

KPI に追いかけられる環境をつくらない

破壊的なビジネスを目指すテックカンパニーにおいて大切なことは、100%を120%伸ばすことではなく、今までと全く違うルールのゲームを市場で創り出すことです。こういった思想は近年のテックスタートアップの起源である西海岸企業の共通認識であり、日本の大企業の漸進的な成長を好む考え方と大きく異なります。また、既存のKPIを漸進的に伸ばすことが目標になっている企業にとっては、ルールメイクをしていく行動自体を称賛・評価するような仕組みを社内に実装するのは難易度が特に高い部分です。
Ubie では事業目標へのアラインにOKRを利用し、漸進的な成長ではなく飛躍的な効果があることに対して明示的にチームリソースを使えるよう合意形成しています。また、個人の人事評価も行わず、本質的には飛躍につながらないような活動に対して時間を使わないシステムをつくり出しています。


ビジネス職を含めてミッションを"開発"に絞っている

Ubie の組織は Dev (開発) 組織と、Scale (拡大) 組織から成り立っています。この2つの組織は、ビジョン・ミッションは共にしつつカルチャー面で大きな違いをもっています。事業の種を見つけて事業化する 0->10のフェーズの責務を Dev 組織が持ち、改善によって 10 -> 100 へ事業を拡大する責務を Scale 組織が持ちます。Dev というと一般にソフトウェア開発の組織のように考えられますが、事業開発も Dev のチームに加えられます。このような構造にすることにより、メンバーが事業の飛躍的な成長のためにどうしたら良いかを考え、行動することに集中できる環境をつくっています。


ルールをできるだけつくらない

漸進的な成長を重視する組織では、メンバーが効率的な方法を均質的に遂行することが重視されるため、個々の行動も規則化される傾向にあります。一方でテックカルチャーにおいては、一つの小さな施策が全く次元の違う成果を出す可能性があり、人と違う考えの施策の実行を推奨する環境にする方が、得られる恩恵が大きくなります。
Ubie では、カルチャーに沿った期待されている結果を出してさえいれば行動に対しても何も言いません。一方で、結果(飛躍的な成果)が出ないことに対してはそれぞれのメンバーも真摯に向き合い、課題解決をしようとしています。

人の採用に対して潔癖であり続ける

優れた人材は優れた人材と働きたがるという傾向がエンジニアリング文化では顕著です。人材レベルを採用断面で常に上げていくことは、急成長している企業において根幹となる考え方です。特に成長している企業ほど人材が不足しているので、人材を早く獲得したいという甘えが出てきますが、採用を安易にしないということを固く守っています。これは人数を重視して人材をとにかく採用して、一人前に育てていくという考え方とは正反対のものになります。
また、エンジニアなどの技術職に限らず、「チームで働く全員が業務レベルの高い人と働きたいと考えている」と組織として明言しています。人材の質に対しては常に高い意識を保ち続けるのが重要です。

情報の透明性の重視

前述のように全社的にスクラムの思想を持っていることもあり、情報の透明性に関しては特に力を入れています。社内には透明化プロジェクトという全社横断のチームが存在し、ドキュメントの整備、ルール化など社内情報の透明化を行っています。情報の透明化は一見テックカルチャーとの直接的な関係性が不明瞭に思えますが、あらゆる情報へ社内の誰でもアクセスできるようにすることは、生産性の面でも、お互いを信じるベースとしても重要な要素と考えられます。


徹底的に性善説である

Google に代表されるように、西海岸のスタートアップ・テック企業には性善説の企業が数多く存在します。 「性善説を前提に、メンバーを信じて任せる」、「問題が起きる前に承認する体制にしない」という考え方が重要であると考えます。Ubie の Dev チームにおいては、時々刻々と変わる情報に対して事前の承認を得て意思決定をしていくよりも、個々のメンバーが独立して判断し、様々な施策をスピーディーに検証するスタイルの方ががマッチします。
ただし、性善説を組織に実装するには、上述したような採用への潔癖さ(信頼して意思決定を任せられるか)、情報の透明性(仮に何かが起きた時に後で反省ができる)が要素として重要であり、どのような組織でも導入できるというわけではありません。


まとめ

テックカルチャーの特徴や、Ubieではどうやってテックカルチャーを保てるようにしてきたかを述べました。今後日本においても、よりテックカルチャーの会社が増え、市場のルールを変えていけるようなサービスが次々と生まれていけば良いなと考えています。

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