あわくてにじんでぐらでーしょん
年を取ると、自分の輪郭がハッキリ分かってきて、とても楽になる。
「自分の思考が、世界のすべて」って言うこともよく分かる。
今の私の世界は、幸せなのだ。
そして、丁寧な暮らしをしている。
あわくてにじむ世界から、私の思考が濃い部分を掬い取ってあげる。
顔を洗いたかったら、私の足で私の顔を運んであげる。
その冷たい春の水道水を、私の顔に湿らすことが出来るのは、私だけなのだから。
食べたいと思った豚汁を、私に食べさせてあげる事が出来るのは、私の腕と指先、食材を買いに行ける足なのだ。
そんな諸々の、私にしてあげる事の心地よさを味わってます。
皮膚に心地良いオイルを、塗ってあげる私の手のひらも、春の夜に心地良い。
きちんとしたいと思う心が、今はとても心地良い。