マ社長の星屑レビュー☆第1回 Pelicans we/Cosmo Sheldrake

第1回は今年の音博にも出演してくれるCosmo Sheldrakeの新作を紹介したいと思います。

9月9日に発売になるコスモ君の日本独自企画盤の7曲入りEP。

昨年リリースのシングル「The Moss」収録の2曲と、さらにボーナストラック1曲追加で彼の音の世界感が十二分に味わえる内容になってます。

まずコスモ君はロンドンを拠点に活動する若干25歳のクリエイター。
自分で旅をした街の環境音を音楽の中に取り入れて作品を作っています。
耳を凝らして聴いてもらえば、リズムで鳴らされている音が普通のドラムの音じゃなく環境音の組み合わせで成り立っているのがわかってもらえると思います。その制作のやり方がまさにインプロビゼーション。
先行シングルの「Rich」のライブ映像を見てもらえたらわかると思うのですが、

http://kyotoonpaku.net/2015/lineup/

お豚さまのお家で撮影、録音されたこの映像。
サンプラー、シーケンサーという、あらかじめ音を登録しておいて、
ここの鍵盤を弾けばこの音が鳴るという機械にありったけのバラバラのリズムや、はたまたぶつ切りの歌までを登録しておき、それをリアルタイムで人力アナログ演奏しています。
しかも音源には入っていない豚の鳴き声もしっかりサンプリングされていますね。
それらの一瞬一瞬で紡ぎだした音をルーパーという小節ごとに繰り返し流してくれる機械に録音し、それをオン、オフすることで曲にしています。
そして曲の下地ができたところでおもむろに胸ポケットからマイクを取り出し歌い始める。なかなかの強者ですよ、コスモ君。
他のライブ音源もたくさんアップされていますので、ぜひCD音源と聴き比べてもらいたいです。

しかしながらそんな楽しそうな制作をしていてもアバンギャルドで終わらないのがコスモ君の凄いところで、しっかり歌があって、しっかり音楽からメッセージが伝わってきます。
メッセージと言っても押しつけ的なものではなく、自然と気付かされ、心動かされるものです。
昨年音博に出演してくれた「Sam Lee」にも通ずると思うのですが、
トラディショナルな音楽やメロディーの幹があるからこそにじみ出る、伝承音楽の様に聴こえます。
古いものや教えが一番素晴らしいとは思いませんが、なんだか生き物はこうやって生きているんだよとか、地球は回っているんだよという一番人間のプリミティブなところに届く音楽だと思います。
そしてそれは数々のライブ映像を見てもわかるように、様々な環境によって曲を適応させて変化させていくという、彼ならではの音楽感だからこそ伝わるものだと思います。

そんなコスモ君が初めて訪れる京都でどんな音を鳴らしてくれるのか、
9月20日が楽しみで仕方ありません。(佐藤征史)

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