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近況と雑感

怒涛の日々が終わりつつある。

アルバム『感覚は道標』の制作から発表、『くるりのえいが』の舞台挨拶やプロモーション、初の2日間開催となった京都音博、その後のイベント出演など。

もっくん含め、メンバーやスタッフも常にフル稼働で、数年分の仕事をここぞとばかりにやり込んだ感覚。

日々生きてるだけでなんやかんや色々あるから、ここに書く私たちの活動以外のところでも、なんだか色々あるから少し休みたいというか、いちど副交感神経優位にしてみたいところ。

映画を観てくれた方々、アルバムを聴いてくれた方々、音博やライブに来てくれた方々、日々応援いただいている方々、ほんとうにどうもありがとう。皆さんの励ましと期待、私たちにしっかり届いています。

BUCK-TICKというバンド、私が認識したのは30年少し前だったと記憶しています。

『JUPITER』という曲の演奏をTVの歌番組か何かで観て、サビのメロディがずっと頭の中に残りました。始めたてのギターでコードを弾いてみたり(シンプルなサブドミナント・マイナーがとにかくグッと来るんです)、下手ながらカラオケで歌ってみたりもしました。

私は当時中学生で、洋楽ロックやブラック・コンテンポラリー(今で言うR&B的な黒人音楽)に目覚めたところでしたが、月の小遣いはたった1000円でした。2ヶ月頑張って貯金して(借金もしましたが)、輸入盤の新譜CDを買ったり、お金がない時はレンタルCDしてカセットテープにダビングするか、友達から借りて聴いたりダビングするしかありませんでした。

『JUPITER』はとても好きな曲だったのですが、結局なんやかんやで買いっぱぐれてしまったので、ラジオやテレビで流れるのを聴いて、曲を覚えていました。

その曲が、どんな背景で作られたものか、歌詞でなにを表現しているかとか、当時は何も知らずにただ、良い曲だなぁ、と思って聴いていましたが、「〜せめてお別れのしるし」という部分の歌を聴くと、じわじわ胸が締め付けられるようで、好きなんだけどなんだか怖いような、不思議な気持ちになったものでした。

そして私はそのまま成長し、色んな音楽を聴き漁り出会い、バンドを始めていまに至ります。

私はソングライターなので(と言うよりはコンポーザーなので)、音や音楽の構築、演奏のエネルギーで匂いを出そうとします。他の人の音楽も、そのように楽しむことが多いです。具体を知らない方が楽しめる物事というものは、私にとって愛着のひとつなのかも知れません。

私はX(元Twitter)に記した通り、BUCK-TICKについて語れることは多くはありません。『悪の華』や『ドレス』など、ファンの方々でなくても知っているような楽曲なら何度も耳にしていますが、私は特段『JUPITER』が好きで、耳から離れませんでした。

私は変人ぽいですが、俗っぽいただの中年です。だからたまに知ったかぶりをすることもありますし、食い気味の適当なレスバをすることもあります。

『JUPITER』に込められていた想い、というのがどこまでどう言うことか、というのは私には分かりかねますが、恐らくファンの方々にとっての公然の事実である「物語」を知らなかった私にも、ズンと響く濃厚なモチーフだということは音楽そのものが教えてくれます。

そして、私は作詞者で歌い手である彼と、直接の面識は無いに等しいですが、同席した際の佇まいや、周囲から伺う彼に纏わる話をいくつか聞いて、中学生のクソガキだった頃と現在がスーッと繋がり、「なんとなく」敬愛というか、良いなあ、と思い始めて久しいです。

「なんとなく」好きだということは、匂いというか直感的なものです。皆さんにも、そういうのって無いでしょうか?

緩やかな、穏やかな敬愛であったので、そして何よりも、ガッツリ現役感のあるバンドですから、私も頑張ってやってたらそのうち会えるかも知れない、仕事でご一緒する機会もあるのかも知れない、再び『JUPITER』を聴いたり、その他の楽曲や作品に触れる機会があるのかも知れない、と、ぼんやり思っていた感じでした。

仲の良いバンドで、メンバーチェンジも無い、というのは憧れでした(半ば自虐的ですが)。ギターのサウンドや幾つかのサウンド・アプローチには親近感やインプレッションを持っていますし、今は少し悲しくて聴けないけど、そのうち色々掘り下げてみよう、と思っていたりします。

ずっと続けて前を走っていらっしゃるから、多分そのうち掘り下げるだろう、と思っていたところで、訃報は届きました。

これから会うかも知れない人が居なくなった、ということが、私の心に結構きました。そして、折に触れ『JUPITER』を思い出し、彼や彼の近い人たちの深い哀しみを思い出すことになるのでしょうか。

こんな私にも、大切な人たちや仲間たちがいます。どうか元気で居てほしいと、この折に特別な気持ちを持つとともに、彼の近しい人たちとファンの方たちに心を寄せたいと思った次第です。

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