音楽の物質的制約

気分やスタイルによって自由にコンテンツとインタラクトする、デバイスの性能や物理的制約を受けなくなる、デバイスのコンテクストに依存しないスタイル −情報の環境化:融けるデザイン

音楽は物理的な制約が強いアナログな文化であると思う。

デジタル化されつつある現代に置いても”楽器”は体形を変えずそのまま受け継がれている。もちろん楽器を一部電子化した製品があったり、電子楽器も出現しているが依然、アナログである印象が強い。

制作に関わらず、録音する、演奏する際にも一部ソフトウエアを用いてもアナログ機材を用い、適正化された場所でないと対応できないという物理的制約が伴う。

また音楽を娯楽産業と捉えた時、いまDSDフォーマットを推進している「いい音で楽しむ」という高価格戦略は更なる物質的制約を加算しているに過ぎない。

CDという物理的フォーマットが衰退化している理由はデジタル化の流れで電子フォーマットに置き換えられているという見解は多いが、CDプレイヤーなどの機器を用いなければならなかった物質的な試聴形態からの開放の一環でもあると私は考える。

物質的制約は「どこでもできる」「いつでもできる」の可能を不可能にしている。たがしかし、音楽のクオリティやライヴ感などその品質にベクトルを向けた時、方法としてアナログな手段を用いなければ実現できないという事実がある。

先に述べた様に物理的制約とコンテクストに依存した状態では情報が環境化する今後の未来に音楽の繁栄は何か別のものに取って代わられるという危惧を感じる。

今後の音楽の在り方はデジタル化され最適化され品質にこだわることのない娯楽産業として消費されてゆく方向性と文化的観点から古典芸術として保護されていく伝統芸能というような2分類が起こる気がしている。

もしかするといつか”クラブでダンスミュージックを聞きながら踊る”という行為も陳腐化し保護されゆく存在になるかもしれない


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