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鶴瓶さんの落語を堪能した

今日、鶴瓶、文枝二人会に行ってきた。
生で落語を聴くのは久しぶり。

文枝さんは自作の落語をやるとして、鶴瓶さんは何の噺をどんな風に演じるのか、そこに一番注目していた。

鶴瓶さんといえばテレビタレントのイメージが強いが実は古典落語もしっかりやってる方で、15年ほど前に生で一度だけ聴いたことがある。
六人の会という春風亭小朝さんや立川志の輔さんらと結成した豪華な面子の会で、京都の南座でやったのを聴きに行って、その時にトリに出てきたのが鶴瓶さんで、演じたのは"子別れ"という人情噺、素晴らしい出来で凄く感動したのを覚えている。
それ以来の久しぶりの生鶴瓶落語となるので、今回は非常に楽しみにしていた。

そして、今回の鶴瓶さんの演じた噺はなんと、、
"お直し"である‼️

落語好きな方はご存知かと思いますが、この噺は名人、古今亭志ん生が得意としていた噺で夫婦の情愛を描いたゴリゴリの廓話である。
廓話とは遊郭を舞台とした噺で、江戸落語では一つのジャンルとして確立されているが、上方落語では間接的に花街の女性の存在を感じさせるものはあっても廓が直接の舞台となるものは僕の知ってる限りはないので今回は非常に驚いた。

まず冒頭の枕で鶴瓶さんが、
「今日やる噺は花魁というのがでてくるので〜」
と、話していて、

「え?上方落語で花魁?どういうこと?」

と、まず最初に驚き、噺を聴き進めていく内に、"お直し"だと気付いて更に驚く。
上方落語で廓話がまず珍しいのに、中でも"お直し"といえば古今亭志ん生以降演じる人がほとんどいないハードコアな噺である。

鶴瓶版の舞台は新町の遊郭と設定していた。
遊郭の雰囲気を継ぐのは今では飛田新地などがあるがあれは歴史が浅く、実は大阪で唯一江戸幕府が公認していたのが新町遊郭で当時はもの凄い賑わいだったようである。

話も上方版に作り替えてあるのだがそれが細かいところまで非常によく出来ていて、内容も鶴瓶さんの暖かい情感が良く出ていて素晴らしい高座だった。

中でもちょっとマニアックな部分に触れると、江戸版では廓で最下層の店が並ぶゾーンのことを"ケコロ"と呼んでいて、そこを舞台として話が進行するのだが、鶴瓶バージョンでは"ドクロ"と言っていて、その辺の説明も話の中にしっかり組み込まれていたので恐らく新町遊郭でそう呼ばれるところが実際にあったことが感じさせられた。

テレビとかでは絶対やれないこれぞ落語という、しかも演じ手が少ない難しい噺を直球勝負で聴かせてくれて大満足でした。

YouTubeで名人、古今亭志ん生の演じた"お直し"の録音があって、そちらも本当に素晴らしいので気になる方は是非聴いてみて下さい。

#落語  #クラゲナス #鶴瓶 #お直し #桂文枝

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