館山で海と戯れた時のこと
10年以上前のこと。
仕事に疲れて、1人で館山へ2泊3日で旅に出る。
誰にも気を遣わず、心の赴くまま、あちらこちらへ。
2日目の夕方、館山の海を歩く。波打ち際をなんとなく歩いている時に、それはあった。
海と、自分が、溶けて一体となっていた。自分が海に溶けていたのだと思う。歩いている自分の体の感覚はあるが、意識は溶け出していて、波と行ったり来たりの会話をしていた。
言葉はないけれども繋がっているのはわかる。波の満ち引きが会話のやりとりのようで、その心地よさに、私はずっと浸っていた。このまま溶けててもいいなぁと。
どのくらい時間が経ったのかわからない。ふと、いつもの、日常の感覚に戻り、波は波、私は私で、分離された。
それ以来、その感覚はない。
でも、忘れられないくらい、イメージと体感はしっかりと残ってる。また海と、波と溶け合いたい。
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