祖母

 先日、祖母が亡くなったと父よりLINEがあった。信じられないけど、心のどこかではこの時が来ることも知っていた。物理的、時間的な距離があるせいだろうか。とても遠くで起こっている様な気もする。正直寂しいが、悲しくはない。

 こっそりサッといなくなってしまう所が祖母らしい。祖母はいつも淡々としていて、ノンビリしていて、そして私をとても気遣い、心配してくれた。小学生の頃、学童からの帰り道、祖母が引く自転車のカタカタという音、革靴のカツカツという音がすこぶる好きだったのを思い出す。シャイで自分の事をあまり話したがらない祖母なので、今回も「いいよ私は。」といってひっそりどこかへ出掛けてしまったのかも。

 何だかんだ言って祖父の事が大好きだった。祖父の認知症が進み、一緒に生活する事が難しい段階だった時も、共に暮らしたいと言っていた。祖父は今やみんなの事が分からないかもしれないが、祖母は祖父を想っていた。そういった意味では、「祖父は健在である」といった想いのまま亡くなったので、それはそれで良かったのかもしれない。

 私が1人暮らししていなければもっと会えたなぁとか、あの時もっとああしていればなぁとか、楽しかった思い出とかも浮かんでくる。

 人生は永遠に続かない事を時々思い知らされる。だからこそ一瞬一瞬を大切に胸を張って生きようと思える。みんな死なないでほしいなぁ。

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