『五等分の花嫁』で学ぶ英語①英語版タイトルの意味について
どうもちょうど昨日映画を見てきたSeattleです!Twitterでちょっと予告はしていたんですが、『五等分の花嫁』で学ぶ英語というコンセプトでブログを書いていこうと思います。アニメを通して英語を勉強したい、英語は嫌いなんだけどアニメは好き、そういう方々にぜひ読んでもらいたいと思っています!
あらかじめお伝えしなければいけませんが、作品の内容に直接間接に触れてしまう場合があるので、ネタバレが嫌な方は原作やアニメを見てから当ブログをご覧いただけたらと思っています。
さて、『五等分の花嫁』で学ぶ英語、その第一弾はズバリ、『五等分の花嫁』の英語タイトルの意味についてです!
みなさんは英語版のタイトルを知っていますか?
英語版のタイトルは”The Quintessential Quintuplets”と書きます。アルファベットで発音を描こうとすると、「ザ・クイントエッセンシャル・クインタプレッツ」にでもなろうかと思います。Quintessential Quintupletsの二つの単語はよく見かける単語ではなく、特にQuintessential は結構レアな単語です。
このタイトルの意味について理解・解釈してみようというのが今日のお題です!
それでは早速やっていきましょう!
① まずググってみる
「Quintessential Quintuplets 意味」でググってみると、ブログ記事と知恵袋が出てきます。ブログ記事の解説を引用すると下記のように書いてあります。(引用元 https://english-meister.com/the-quintessential-quintuplets/)
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『Quintessential』は「典型的な」という意味。
『Quintuplet』は「五つ子の一人、5個の一組」という意味で、直訳すると「典型的な5人の一人」となります。
『Quintessential』の接頭語「quint」は、ラテン語の「fifth(五番目、5分の1の)」が由来の単語で、その「quint」が「欠くことのできない、非常に重要な」という意味の『essential』と組み合わせることで、『Quint+essential』=「5分の1の非常に重要な」と訳せます。
なので、「The Quintessential Quintuplets」という英語タイトルは、「5分の1の非常に重要な五つ子の一人」という意味だと考えられます。
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本ブログは批判が目的ではないのですが、この文章を読んだだけで意味がわからないというのが私の正直な印象です。特に、「典型的な」という言葉は必ずしも間違っていないのですが、もう少し意味を突き詰める必要があるのと、「5分の1の非常に重要な」という部分も一体どういうことなのか、考える必要があると私は思っています。
② Quintupletsは五つ子。問題はQuintessential
既に上に引用したブログ記事にも示されていますが、”The Quintessential Quintuplets”のうち、Quintupletsの意味ははっきりしています。この言葉の意味は五つ子です。この言葉自体、日本でよく見かける言葉ではありませんが、五つ子と考えれば意味ははっきりしています。ちなみに、欧米の言語によくあることですが、ラテン語の影響を強く受けています。このQuintupletsという言葉もラテン語で5を意味するquinqueに由来しています。
参考までに双子〜四つ子の英語訳を下記に示しておきます。
双子 Twin
三つ子 Triplets
四つ子 Quadruplets
さて、そうなると、このタイトルを考える上で問題なのはQuintessentialだということになります。
③ 五等分の花嫁の直訳は、”The Quintessential Quintuplets”にはならない
やや横道に逸れますが、五等分の花嫁と”The Quintessential Quintuplets”を比較したときにまず気づくのは、英語のタイトルには「花嫁」を意味する単語がないことです。花嫁を意味する英語は、そうです、日本語でも「ジューンブライド」などで知られている通り、ブライド(bride)です。
ですから、”The Quintessential Quintuplets”は訳としても不思議な感じがするのです。
海外の方の中にも、なぜこのような英訳がなされたのか違和感を持たれた方がいたようです。(参考 Where did the title “Quintessential Quintuplets” come from? https://www.reddit.com/r/5ToubunNoHanayome/comments/mvwft6/where_did_the_title_quintessential_quintuplets/)
④ Quintessentialの意味は…?
確かにグーグルで日本語訳としてすぐ出てくるのは「典型的な」です。でも「典型的な」ってなんというか「典型的な症状」みたいに、「ありふれた」とかそういうふうに日本語で使われることが多く、私としては素晴らしい五つ子を形容するのにはちょっと変なんじゃないかと思ってしまうんです。
こういう時に役立つのは、「英文の中でQuintessentialがどういう使われ方をしているか」「英語の辞書の中でどういう解説がされているか」です。これをちょっとやってみたいと思います。
世界的に権威ある辞書であるOxford大学の辞書によると、Quintessentialは
“representing the most perfect or typical example of a quality or class”という意味になるそうです。これを直訳すると、「あるものや種類の中で、最も完璧な例、あるいは典型的な例」とでもなります。実際に使い方をみてみると、
"he was the quintessential tough guy—strong, silent, and self-contained"
「彼はまさにタフな男だ-強く、寡黙で、必要なものを全て持っている」
ですから、これは「典型的な例」でありながらなおかつ「完璧な例」という意味で使われています。だから、Quintessential Quintupletsは上の例文の「タフな男と言えば、まさに彼のことだろう」というように、五つ子と言えば、あの子たちのこと、もっとも素晴らしく、完璧な五つ子だという意味になっているように思うのです。日本語の辞書ではこのQuinessentialを訳する過程で「典型的な」の部分だけが取り上げられてしまったようです。
⑤ 講談社さんの意図
この英語版タイトルは公式なものですから、講談社さんに問い合わせをしてみようとも思ったんですが、幸運なことに、講談社さん自身がホームページで既に説明をしてくれていました!
https://recruit.kodansha.co.jp/project/project_01.html
上記リンクの中で次のように書かれています。
「韓国版、中国版、英語版の単行本。タイトルを直訳すると猟奇的な意味になってしまうので、英語版では「The Quintessential Quintuplets(本来の五つ子)」という英訳に。」
ですから、講談社さんは、Quintessential を「本来の」という意味で用いているわけですね。五つ子が本来の姿になるというのは、『五等分の花嫁』のストーリーの重要なテーマでもありますから、「本来の」は素晴らしい訳ですね。
⑥ Quintessential の語源をさかのぼって
それでは本日のブログの最後に、①で掲げた「「5分の1の非常に重要な」という部分は一体どういうことなのか」という点について、Quintessential の語源を深掘りして考えてみたいと思います。
英語の語源を調べる時に使いやすいこちらのサイトを使って、調べてみました。
https://www.etymonline.com/word/quintessential#etymonline_v_30438
ちょっと内容は難しいのですが、Quintessentialの名詞形であるQuintessenceは元々世界を説明する五大元素という意味を持っていたようです。今から2000年以上遡ること古代のギリシャでは世界の物質は水、空気、火、土の4つで構成されていると考える哲学者の集団がいました。これに著名な哲学者アリストテレスが第五の元素として空気の上層を意味するエーテルを加えたとされています。この五つの元素をQuintessenceと呼んだようです。
こういう意味をQuintessenceが持っていると考えると、「5分の1の非常に重要な」という言葉の意味の本質がわかってきませんか?
すなわち、5つのそれぞれ一つ一つがこの世界になくてはならないという意味を持っているということです。だから、The Quintessential Quintapletsは五つ子の一人一人がこの世界にとってかけがえのない一人であり、五人揃って初めて完璧な五つ子である、そういうことを意味していると私は結論づけたいと思います。
以上、読んでいただきありがとうございます!コメントや高評価お待ちしております!