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■某カラオケにてカラオケという場所は、好きな人と嫌いな人が二極化する。ちなみに俺は大好きだ。だけど、カラオケの記憶が全て良い思い出であるわけではない。少し嫌な思い出も、当然ながらある。 男子なら誰もが一度は通る、宇宙人のような声でしか歌を歌えない地獄のような時期。変声期。俺はこの時期に父親とカラオケに行ったのだが、苦悩の末に選んだのが米津玄師の『Lemon』だった。だけど、米津玄師の曲は基本的にリズムが難しいため、俺はこの曲に叩きのめされることになった。特にピッチが安定して
こんなことになるなら、一人で部屋にいる方が良かった。俺は四角い箱の中で、酷く後悔していた。 孤独というものは、群衆の中にいるから認識するもので、何を求めることもせずに自室から出ない奴は、そもそも孤独というものを知らずに済む。俺もそれで良いはずだった。 それなのに、どうしてこんな場所に来てしまったのだろう。後悔先に立たず、溜め息は雑音に掻き消された。 インカレサークルの新歓に、何かを求めてやって来て、得られたものは『虚無』や『孤独』。 なんて皮肉なことだろう。 「ワンド
今日もまた俺は、大気圏から地上に向かって降下している。飛行機から飛び降りると、程なくして背中のパラシュートが開いた。戦場に降り立つ前のこの景色が、俺はたまらなく好きだ。共にこのフィールドを制覇しようと志す戦友たちは、今どんな表情を浮かべているのだろう。この空中からの視点では、それを窺うことはできない。地上が段々と近付いてきた。ここで俺は栄えている集落や、大きな湖の周りや、青々とした茂みなど沢山の選択肢がある中で、どこに降りるか決めることを迫られる。俺はあまりこの手のゲームが得