2020年代に求められる資質・思考のあり方

世界的な数学者としても知られる岡潔さんの「紫の火花」を読みました。
この中に数学を解くのに前頭葉を使うということがたびたび記載されていました。
岡先生の場合は、数学の問題を解くといっても、もちろん私たちが普段考えるような算数に毛の生えたようなものではなく、解くのに何日も何ヶ月もかかるような難題のことを指しているわけですが、それでもなんとなくその感覚はわかるような気がしました。
本来、数学は解き方を暗記するものではないはずなのですが私たちが学生の頃は、パターンして解いている人が非常に多かった印象があります。おそらく岡先生が書かれている、側頭葉で解いてしまっているのだと思います。
大学入学がゴールであり、目的であればそれでも良いのかもしれませんが、本来大切なのは大学に入って、さまざまなことを学んだり、考えたり、あるいはその後社会に出て、いろんな問題を解決することだと思うので、その点では暗記型の数学で乗り切るのはよくないことだと感じます。
しかし、私自身を振り返ってみると、暗記型や側頭葉で考えることを批判しつつ、普段の仕事においては、過去のパターンに安易に当てはめて乗り切ろうとすることも少なくない感じがしています。
岡先生がいうところの情操型の課題解決をしていくためには前頭葉の感情・意欲・創造を最大限に働かせることが必要で、そのためには精神統一が必要と書かれていたので、その点ではじっくり考えることが不足している感じがしたのですが、そう書くのは正しくないと思いました。それだと、目の前の仕事が忙しくてじっくり考えることができていないというように見えてしまいます。
そうではなく、私自身の本当の問題は、問題をしっかり捉えていないということなんだと思いました。本質を見極めることなく、さっと小さな課題を定義してしまうから、側頭葉で解いてしまう気がします。
お題の定義がしっかりできていれば、側頭葉では解けず「待てよ! これは今までのやり方ではダメだな」と考え、感情・意欲・創造を働かせないとダメだとなるはずです。
その点では、良いお題を自ら設定しないといけないですし、あるいは良いお題を出しあえる同僚やお客様が必要なのかもしれません。
もう一つは普段から前頭葉を働かせないといけない気がしています。自然や芸術に触れることなどして、感情や創造の部分が働くようにしないといけないし、ストレスを溜めることなく、意欲が高まるような過ごし方も大切だと言えるのかもしれません。
元々、学生時代、数学は右脳で解くものだと思っていたので、前頭葉の感覚的なもの、創造的なものは大切にしていたつもりです。その感覚が錆び付いてしまっているのではないかと猛省し、前頭葉を使いながら、日々過ごすことができたらと思いました。

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