間合いを捉え、コミュニケーションを深める

諏訪正樹さん編著の『「間合い」とは何か』という本を読みました。
野球における投手と打者の間合い、日常会話における相手との間合い、サッカーでマッチアップときの間合い、フィールドワークにおける調査対象者との間合いなど様々なシーンにおける間合いを捉えながら間合いについて考えていくアプローチは興味深かったです。
昔、剣道を少しだけやっていたことがあるため、間合いというと、剣道の間合いを連想します。相手の攻撃を受けないための距離を保ったり、自分がうまく飛び込み攻撃できる距離にいかに縮めていくかが難しくもあり、面白くもあると感じていました。
この本では、間合いを形成するとは『場が内包する「エネルギーのようなもの」を敏感に感じ取って、自己の動きを臨機応変に調整すること』と書かれていて、なるほどと思いました。
それは野球でもサッカーでも格闘技であっても本質は類似しているとありました。
投手と打者の間合いというと、榎本喜八さんを思い出します。「打撃の神髄 榎本喜八伝」では神の領域に到達したともいえる2-3週間、臍下丹田に自分のバッティングフォームが映るようになり、ピッチャーとのタイミングがずれることがなくなったと語っていました。
まさに投手との間合いが完璧に捉えられ、自分の思い通りのバッティングができるようになった瞬間といえます。
さすがに榎本選手の領域に到達したことはないのですが、仕事において社内で話すときもお客様と話すときも、最適な間合いが形成されていると、何のストレスもなく、本題のことについて深い議論ができます。一方、間合いができていないと、些細なことでタイミングがずれたり、噛み合わないことがあり、肝腎の中身も十分詰められないことがあります。
最近は、web会議が増えてきて、このちょっとの間合いがうまく詰められず、半テンポ遅れたり、逆に、そうならないように意識して、食い気味にリアクションをしてしまうことで、間が悪くなったりすることがあります。それは、通信環境が十分でないことによるズレもあるのでしょうが、それ以上に場が内包する「エネルギーのようなもの」を敏感に察知できないのではないかと感じます。言語化された情報はやりとりできるのですが、エネルギーが読めないから適切な間が形成できず、ストレスになっている気がします。
もしかしたらweb会議でも良い間合いを形成できるのかもしれませんが、おそらくweb会議で間合いを最適化して心と心を通わせたコミュニケーションを行うこと自体に無理があるのかもしれません。今後、今の状況が収まっても、100%オフラインの生活に戻ることは考えにくく、オンラインのコミュニケーションをうまく活用しながら、オフラインも使っていくことになるだろうという指摘をよく見かけます。
そうだとすると、例えば3回に1回は直接面会するが、あとの2回はオンラインでとなったときに、直接会うときには、会話の中身以上に間合いを意識し、相手の懐にいかに入り込めるかを考えることが大切なのかもしれません。細かな情報のやりとりはそれ以外のweb会議やメール、電話で済ますことが、効率的かつ効果的なのかもしれません。
いずれにしても、普段から「エネルギーのようなもの」をどれだけ捉えられているかを意識することで、より良い人間関係を築くことができたり、組織の調和が図れるのではないかと感じました。

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