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明日着るとしても一度たたむんだよ。それが生きるってことだ。


「ジャージしまいなさい!」
「いいの。明日着るからー」
「明日着るとしても一度たたむの。
それが生きるってことなんだよ!」

うざいことは自覚しながら
中2の子どもに対して堂々と
哲学的に語る。

どうせ死ぬのに
なんでこんなにも
繰り返さねばならないのかと、
面倒に思っているのはこの私だ。

食べて食器を洗って片付ける
服を着て洗って干して取り込んでたたむ
布団を敷いて寝て起きて布団を畳む


どうせ死ぬんだからと思って
何もせず、
空を見上げてるわけにもいかず
私は今日も繰り返す。

死んだら、悲しいなんて感情はなく、
ただただ達成感。
な、気がしている。

看護学校の実習が終わった時の気持ちに
似てるのかもしれない。

「自分のダメさと向き合う日々であった。
でも終わってみると、
なんだか私、強くなれた!」


この世の悲しみは、
死んだ瞬間に悲しみではなくなる気がする。

天寿を全うすると、
そんなご褒美が待っているんじゃないかと
思いながら
死期が近づく患者さんを眺める。


一生懸命生きないといられない人もおり
のんびりやるのが好きな人もいる。

人のために生きたい人もいれば
堂々と自分のために時間を使う人もいる。

ひとつの道を貫く人もいれば
いろんなことにチャレンジする人もいる。

全てが経験になると信じて、
今日も娘のジャージをたたんであげずに
とりあえずイスにかけておきます。

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