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グランプリは「いちご見本帳」! QUICK Data Design Challenge 2023 閉幕

こんにちは!株式会社QUICK デザイングループです。2023年4月から6月にかけて開催した「 QUICK Data Design Challenge 2023」の受賞作品が決定し、「オープンQUICK2023」の中で結果発表を行いました!


QUICK Data Design Challenge 2023 とは

「 QUICK Data Design Challenge 2023」は、データから読み取れる内容をクリエイティブなアイデアで表現するアワードです。

データとデザイン、一見すると縁遠いようにも思える2つの関係性について、髙見 信三社長は「データで社会を見える化する」というQUICK のビジョンを引用しつつ、「データ自体はメッセージ性を持たない。デザインという要素を加えることでメッセージを分かりやすく表現し、人の気持ちや行動を変えることができる」と語り、改めて企画の趣旨を説明しました。

審査について

審査員を務めてくださったのはこの方々です。デザイン・クリエイティブに精通しつつ、それぞれ違ったフィールドで活躍する3組の方々に、多角的に審査していただきました。

 田川 欣哉さん Takram Japan 株式会社 代表取締役/デザインエンジニア
尾形 真理子さん コピーライター/クリエイティブディレクター
exonemo (千房けん輔さん、赤岩やえさん) アーティスト

短期間の募集だったにもかかわらず、集まった応募作品の総数はなんと176 点!ユニークで素晴らしい作品ばかりでしたが、厳選されたファイナリストの中からグランプリ、準グランプリ、QUICK特別賞を選出しました。
QUICK特別賞は、QUICK社内で投票を行い、得票数の多かった作品を選出しました。また、当初設定していた審査員賞は、どれもグランプリに遜色ない優秀作品だったことから、審査会にて満場一致で「準グランプリ」へと変更されました。

審査結果

グランプリ「いちご見本帳」

川 明日香さん(武蔵野美術大学)

http://kawasuka.daa.jp/kawa_Ichigoiweb/index.html
グランプリを受賞した川さん

<川さんのコメント>
私はいちごが大好きなので、いちごのことをより深く知ってもらうきっかけになればいいなと思い、この作品を制作しました。このウェブサイトを見て「いちごってこんなにたくさんの品種があるんだ」「品種改良は東京から始まって、東西へ徐々に広がっていったんだ」などの発見があれば幸いです。
<田川さん評>
スーパーで日常的に見かける「いちご」。どの産地やブランドを選べば良いのかいつも迷ってしまいます。作者はそのようなごく普通の生活のシーンに対して、興味と好奇心を持ち、さらにそこにリサーチと可視化を持ち込むことで、見事なツールに仕上げました。「いちご見本帳」では、時間の関係・空間の関係・要素同士の関係の3つが、データビジュアライゼーションの基礎的な手法を用いて端的に表現されています。可視化のオリジナリティやグ
ラフィックデザインの品質については、より高いレベルへの向上の余地がありますが、このツールを触っていると、いちごのことがよく分かった気がしますし、明日からの自分の消費行動が変わりそうな気がします。データビジュアライゼーションならではのファクト駆動型の認知変容・行動変容の起点としての可能性を大きく評価しました。
<尾形さん評>
いちごの情報を可視化してみる。「いちごっていろんな種類があるんだよね」で終わらせないモチベーションがまずもって愛らしいです。ビジュアライズとしては必ずしも斬新ではないですが、いちごに興味を持てる仕様が、データとして優れていると感じました。いつまででも見ちゃいます。そして小さないちごにも、受け継がれていく努力の結実があると教えて
くれます。
<exonemo 評>
最初に見た時は、大きな組織が作ったプロジェクトなのかと思っていましたが、審査会で実はこれが個人制作のものだと知って驚きました。データの表現の仕方自体はオーソドックスでもあるけど、個人でこれを仕上げていく、モチベーションや胆力のようなものに希望のようなものも感じられました。データビジュアライゼーションのアワードということで、データから表現を立ち上げていくという基本原則をしっかり押さえ、見る人に気付きを与えるというところも評価のポイントになりました。

準グランプリ「 VALUES MAP - 価値観でみつける、わたしの街 -」

細谷 宏昌さん(株式会社LIFULL クリエイティブ本部未来デザイン推進室 研究員)

https://lab.lifull.com/lifewill/valuesmap/

<田川さん評>
企業ならではのコンセプトの質、そしてデザインとエンジニアリングの投入量と質の高さに脱帽しました。グランプリ候補でもあったのですが、操作時に必要とされる入力項目数と、その結果得られるインサイトの質についての納得感に若干の不釣り合いがあるのではないかという議論になりました。その部分が惜しかったです。ユーザーがこのサービスを使うことによって、時間・空間・関係性についてのインサイトを獲得し、それが認知変容や行動変容につながるような、よりよいデザインへの飛躍を期待しています。

準グランプリ「日本における役割の性差 OECD 各国との比較」

工藤 綾さん( Beyond Words Studio)

<尾形さん評>
世界各国の中で日本は、政治、職場、家庭においてジェンダーによる役割に偏りが大きい。
この事実を知らない人はいないでしょう。だけど水平を軸にしたグラフを使うことで、シンプルだからこそ、その歪みの大きさが気になる。バランスの悪さに違和感を持てる。ファクトと感覚を結びつけるコロンブスの卵的な見事なデータビジュアライズだと感じました。

準グランプリ「 Ocean Pandæmonium -The Noisy Plasticscape-」

榊原 礼彩さん(慶應義塾大学環境情報学部)

<exonemo 評>
2次元的な表現が多い中で、立体的に五感に訴える表現を完成度高く行っている点が評価されました。審査会での議論の中では、データから表現を立ち上げているというよりは、語りたいストーリーが先にあり、そのためにデータを利用していると感じられる点が指摘され、データビジュアライゼーションのアワードとしての評価の仕方が問われる一面もありました。
そういった点も含めて、新しく始まったこのアワードが今後、より多様性のある表現の受け皿としてユニークな存在になっていくための一つの試金石のような作品とも言えるでしょう。

QUICK 特別賞「 SPEED CONVERSION」

イハラシンヤさん

スピードメーターという見慣れたUI で、スピードとリスクの関係性をわかりやすく可視化したことに評価が集まりました。この作品は静止画ですが、ここに動きが加わるとさらに表現力が高まるのではないでしょうか。
投票者からは「説明文を読まなくても表現したいことが明確に伝わってきた」「アクセルを踏み込む際のリスクを可視化して意識を変える、社会貢献度が高い作品」というコメントもありました。

審査員長より講評

グランプリ受賞者の川さんと審査員長の田川さん

最後に、審査員長を務められた田川さんより、今回のアワードを総括する講評を頂きました。
初開催のアワードでしたが、クオリティの高い作品がこれだけ集まったという点で大成功と言ってよいのではないかと思います。この流れを応援していけば、今回応募してくださったような技術や才能のある方々が社会に参画する可能性もあると思います。来年以降もぜひこの活動を継続して盛り上げていっていただきたいです。
データのデザインは日進月歩の発展領域にあります。ソフトウェアのプログラミングやデザインに留まらず、今後はデータの表現によって行動変容をいざなう人材も増えていくでしょう。そういった方々がこのアワードに勇気をもらいながら、社会における活躍の場面を見出していく未来に期待しています。

「 QUICK Data Design Challenge」は来年も続けていく予定ですので、またぜひ多くの方々にチャレンジしていただきたいと思います。たくさんのご応募、ありがとうございました!


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