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その23 バリ島の犬が教えてくれること

バリ島で犬に関してとても面白い研究が行われました。
人間に飼われている犬のグループと、野良犬のグループの行動を比較してみたものです。
ここでいう人間に飼われている犬とは、元々野良だった犬が人に保護され飼われたものです。
出身は同じ野良犬でも、その後の環境の変化(人に飼われる)によりどう行動が変わっていくかというところがポイントになります。
Companion and free-ranging Bali dogs: Environmental links with personality traits in an endemic dog population of South East Asia(Luca 2018)

結果は、野良犬グループは飼い犬グループに比べて、活動性、興奮性、動物に対しての攻撃性、動物(犬含む)や人間を追いかける傾向が全て低いというものでした。
つまり、ずっと野良犬生活をしている方が穏やかだったよ。
人に飼われたら攻撃的になったよというものです。

意外な結果ではありませんか?
なぜこのような結果になったかのでしょうか?

①攻撃的な野良犬は、怪我により早期に死亡する可能性があり、結果穏やかな野良犬が多く残ったため
②飼い犬は、環境が制限されている(家の中で生活し、時々リードで散歩する)ことにより、動物との接触経験が少なく、動物に対して攻撃性が増加した
③飼い犬は、飼い主から「罰」を与えられることがある為、活動性、興奮性、攻撃性が増加した

と考察しています。
(但し、この結果は飼い犬のサンプル数が少ないため暫定的なものと見なされます)

人が犬を飼い監禁状態にすることにより、犬の性格の一部が歪められているということが示唆されたわけです。
犬はその対価として、暖かいベッドや空腹からの自由を得るわけです。

日本では狂犬病予防法があるため犬を放し飼いには出来ませんが、出来るだけ野良犬に近い生活をさせてあげることが、最大限私たちに出来ることだと思います。

そのカギが「散歩」です。
出来るだけ犬の行きたい方向に行き、したいことをさせてあげること。
飼い主は見守るだけです。

「そんなことをしたら問題行動が増える」という方もいますが、この研究は「増えないよ」といっています。



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