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心臓手術の後遺症~タントラマンへの道(第2話)

手術の経緯

水曜日の朝一番で始まった手術は予定通り当日の夕方には終わるはずだった。実際、夕方には終わりICUに移動したらしいのだが、そこで、なんと!内部で出血が止まっていないことが判明したのだ!レントゲンを撮ると肺が真っ白になっていたらしい。これは肺に水(血?)が溜まっていることを意味するのだとか。他にも、移植用の血管を採取した左脚の内部でも出血は続いていたという。そこで緊急で再手術ということになり、当初は8時間程度で終了して意識もすぐに回復するはずだったものが、実際に意識が回復したのは手術開始から75時間程も経ってからだったのだ。

胸骨を完全に切断して、心臓を止めて、人工心肺に切り替えて、脚から血管を採取した血管をダメになった冠動脈の代わりに使ってバイパスを作るなんてことがを2回も続けて行われていたのに、全く何も感じなかっただなんて、全身麻酔というものはホントに凄い。何しろ、全身麻酔をかけられたことすら判らなかったのだから。というのは、麻酔をかけられる際には鼻や口に装着したマスクから麻酔薬を吸引するのだと思い込んでいたのだが、実際にはそうではなかったからだ。手術台に乗って横になりながら、「そろそろ麻酔のためのマスクをかぶせられるのかな?」と待ち構えていたところ、「今、麻酔入って行ってますからね~」みたいな感じで医師の声が聴こえてきた。どうやら、麻酔薬は手術前から刺さっていた点滴の管を通じて入ってくるらしい。「えっ!? 麻酔ってマスクから吸うんじゃなかったのか?」などと思った直後から意識は無くなり、次に目覚めたのは75時間後だったというわけである。

ナースから得た情報は他にもあったが、詳細に書くと長くなるので簡単にまとめると、・手術は一度では成功(完了)せず、連続して2回目を行なった。・輸血を2000ccくらいした。・現在の体重は80Kgほど!(えっ! 手術前は72Kgだったのに!?)

等々、ナースの話を聞いている間は、ごく軽く首を動かしてあいづちを打つことしかできなかったのだが、まもなく、口から挿入されている人工呼吸器の管を外してもらえたので少し楽になった。ところが、一難去ってまた一難。声がほとんど出だせないのだ。出せるのは、森進一やドン・コルレオーネよりはるかに凄いハスキーボイス。しかも、胸の傷が痛すぎるので深い呼吸ができないので声量も出せない。

(つづく)

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