おっさん姫にならされて -おっさん姫にならされたとて-

おっさん姫にならされて ―おっさん姫にならされたとて― 

 

 おっさん姫は夏に増え、秋に集結し、冬に解散する。

 今夏はとても長く、おっさん姫が大幅に増員されたかというとそうでもないらしい。やはり単純に気温が高くおっさんが姫になるバイタリティの低下と夏バテによるものらしい。明確な年齢制度はないけど高齢だからね。そもそもおっさん姫の定義だが、女装ってだけのありきたりなものじゃないんだ。まあそれにおれは女装なんてしない。君に出会ってからそういうのはちがうておもた。女装して上げたり下がったりする気分とかそういうのは嫌いなんよ。服装でおっさん姫の気分になったとてさ、いびつな幻想?なんてかプライドがある。そう―おっさん姫にならされた―プライド―なんだけど、おっさんが姫になっても結論から言うとなんもかわらない。薄っすらと存在を阻害されてく感覚に浸ってしまうだけ?なのさ。

 ここ最近こんなことを考えていたからなのか、久しぶりに君から電話が。

 もしもし!大声をあげたおれはおれの声でびっくりした。

「っふわう!!」

「何を驚いてるのよ気持ち悪い、おひさしぶりねえ」

「ひ、ひ、ひさしぶり!」

「声がでかすぎよあなた」 

 君は元カノという存在というのもあって十分間かそこら他愛もない話をしていた。すると君はおれに電話をかけてきたたった一つの目的をおれに明確に伝えた。


 「全人類、おっさん姫化計画を立てる。協力しろい」

 

 おれはスマホを持つ手がぷるぷるして、しばらく黙った。なぜか恐怖に近い感覚になった。こあい、こあい。おっさん姫~おっさん姫~全人類おっさん姫化計画~おもしろそう~協力する~ってなるかい!って思ったが、君からの電話だしおれは思考した逆の答えを出した。協力する、いいよって言うと君はこの答えが当然のように「わかりました」って言いお互い出禁になっているカフェで秋口に再会しようって言い電話を切った。なぜ?出禁になってるのに?その理由について聞こうとしたけれど聞かなかった。おれなりの解釈。二人共おっさん姫になりおっさんパワーを最大限にあげ、他人になる。オーラの変更不行き届き。おれは西成色を8倍マシマシ燻製パワーだ!と、言っても過言だけどね笑言い過ぎたね。本気だせばいけるけど。

 電話を切ってこんなことをかんがえていると日が暮れ、窓を開けると風が冷たくてシンプルに秋だ。と思った。おっさん姫は夏に増え、秋に集結し、冬に解散する。

 秋だ。集結するんだ、おっさん姫たち。集まって話がしたい。つまらないことでも話そうよ。ドトールとかで。会話しよ。でも、全人類おっさん姫化計画ってなんなんだ……。

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ひろし
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