ヒガシユウ

詩人、文筆家。 色々な言葉遊びに興じています。

ヒガシユウ

詩人、文筆家。 色々な言葉遊びに興じています。

最近の記事

同じ方向 前を見て 互い違いの 手をつなぐ 話す時には 隣向き 確かめるよに 目を合わす 懐深く ひじ入り ぴたりくっつく 肩と肩 肌で感じる 息遣い  歩幅自然と 重なって 同じ方向 向かい合い 同じ片手で 手を握る 話す時には 前を向き 探り合うよに 笑顔描く 腕二本分 距離保ち ぴたりそろった 肩と肩 手のひら写す 心うち 力加減が 伝わって 同じ腕では つながれず 違う腕では 握られず 同じ腕こそ 握り合い 違う腕こそ つながれる ひとつ体に 右左 ひとつ体に 胸

    • 青春

      もっと上手に 生きなよな 昔言われた 一言が 今も頭に こびりつく つながる道は こっちだと 賢いふりは こっちだと そういうことじゃ ないんだよ 見えなくって おろおろし こざかしくって 嫌気さし そんな未来が 見え透いた 下手で不器用 かまわない ひたむき必死 このときに 昔抑えた 衝動が いまだくすぶり うずくんだ 太くはかなく くだけても 細く遥かに 永らえど 願ったとおり それがいい どう見えるかじゃ ないんだよ どう感じるか そこなんだ 何回だって 正直

      • 水鏡

        風が吹いても 雨が降っても 熱が冷めても 熱せられても 水は決して 水であることをやめない 柔らかく敏速な 刺激への反射は きっと清濁には比例しない 形を変えても 硬さを変えても 温度を変えても 粘度を変えても 水はそれでも 水であり続けようとする しなやかで鈍感な 反応への諦観は おそらく純度に反比例する 踏まれても 打たれても すくわれても 抱えられても 水はすでに 水かどうかもわからない おぼろげでかすかな 憧れへの執着は もはや座標の消失でしか 満たせないのかもし

        • 月夜の晩に

          ともに歩いた川沿いの道 今はもう 背高ガラス張り 手振り離れた砂利田んぼ道 今はもう 灯るい二階建て 小春日和 はじめて話した 部活行かずにちぎって貼った どれほどの時間をかけたっけ ふと気づいたら見とれてたっけ 帰りのバスに偶然乗った 降りたらいつも君はいたんだ ただそれだけのことだったんだ でもそれほどのことだったんだ 時々朝に見かけてたけど 気づいて知らんぷりしてたんだ 視線を少しくれてることに ちゃんと気づいていたんだけどな 横顔ちらり 見つめるだけで どうし

          プロレスごっこ

          ピアス カラコン 化粧 いや むり してない 鼻ピ まつ毛 つめ いや むり してない 毎朝 恒例 挨拶代わり 毎朝 一緒に 階段降りる わかっているけど 受けきって わかっているけど 確かめ合う 何だか不思議な リングサイド

          プロレスごっこ

          教育

          誰のため 子どものために 誰のため 保護者のために 誰のため 自分のために 誰のため 組織のために 何のため 未来のために 何のため 子どものために 何のため 生きるのために 何のため 子どものために どうやって 日々むきあって どうやって 時にであって どうやって 粘りねばって どうやって 耐えてこなして 教育は はじめてだけだ 教育は 今日行くことだ 教育は 二度はないんだ 教育は いったいなんだ

          防人のうた

          安物の酒 なみなみと 明日をも知れぬ 我々の 心安らぐ ふるさとの 旋律胸の 奥深く 妻子のためと 言い聞かせ 命一つを 盾として 散っていくこと 昔から 砂上の月は 細長い 涼州詞 王翰 葡萄美酒夜光杯 欲飲琵琶馬上催 酔臥沙場君莫笑 古来征戦幾人回

          私の推し

          敬愛超えて もはや推し 若気のいたり 老いるまで あはれに生きる その様は わたし心の ど真ん中 月眺めては 眠るまで 花を愛でては 世を離れ その御心の 果て見えず 寝ても覚めても 夢心地 贈孟浩然 李白 吾愛孟夫子 風流天下聞 紅顏棄軒冕 白首臥松雲 醉月頻中聖 迷花不事君 高山安可仰 徒此揖清芬

          決心

          闇夜のカラス 鳴き鳴きし 吐く息やがて 霜になる 秋の夜長に 海灯り 木陰伸びゆく 煌々と 聞くか聞かぬか 見当たらぬ ぼんやり響く 山の声 ゆらりゆられて 別れどき ゆらりゆられて 夢の淵 楓橋夜泊 張継 月落烏啼霜満天 江楓漁火対愁眠 姑蘇城外寒山寺 夜半鐘声到客船

          友の旅立ち

          明日発つのか なぁ友よ 飲もうじゃないか 酔えるまで あれやこれやと 語り合い 旅立つ君を 祝おうか 霞見るたび 今日の日が 色鮮やかに 浮かぶよう 上向く君は 華やかな あそこの街が お似合いだ 意気揚々と 川下る さびしき船は どこまでも 見えなくなれど 見えている 広がる景色 その奥に さぁてこれから どうするか 黄鶴楼送孟浩然之広陵  李白 故 人 西 辞 黄 鶴 楼 煙 花 三 月 下 揚 州 孤 帆 遠 影 碧 空 尽 惟 見 長 江 天 際 流

          晩春

          もう十分だ よくやった 走り続けた 懸命に 少し休もう ぼちぼちと やりたいことを 思うまま やらずのことを 気のままに やらねばならぬ 少し置き やるべきことも 少し待ち 不自由だろか 家族には 心配だろか 家族には しかし私は 楽なのだ やっと自分を 過ごすこと 迷惑かけて すまないが いさせておくれ このままで つましき未来 共に見て 物憂げな顔 ちらと見え 少しゆるりと 歩むけど 隣にいては くれまいか とうに定年 追い越して ゆるり錆びつく この身かな 心ばかりが 

          心のままに

          まぶしさ、とうに 通り過ぎ 影が足まで 伸びていく 声にならない 声を上げ 背中から手を 広げると 自然とまぶた 開いてく かもめの声が 右左 何羽何羽と 降ってきて 窓から見える 空高く キラキラ光る 海遠し ここの景色が ちょうどいい しがらみもほぼ 置いてきて 肩肘張らず そのままで 人間みんな 楽がいい 香 炉 峰 下 新 卜 山 居 草 堂 初 成 偶 題 東 壁 白居易 日 高 睡 足 猶 慵 起 小 閣 重 衾 不 怕 寒 遺 愛 寺 鐘 欹 枕 聴

          めんどい

          めんどうくさい 長すぎる めんどくさいと 言うけれど めんどうだなと 言うけれど 「う」も「い」も「くさ」も いらないな 別に急ぎじゃ ないけれど 心によぎる 「べき」と「ねば」 緊急時には 感じない ふとしたことが 嫌になる 退屈だけど なんだかな そんな気分じゃ ないんだな 待て待て実は めんどいは 宝じゃないか めんどいは ゆとりじゃないか めんどいは 平和じゃないか めんどいは 正義じゃないか めんどいは 詠慵  白居易 有官慵不選 有田慵不農 屋穿慵不葺 衣裂慵不

          今日も明日も

          なけなしの銭 身を削る やるせない酒 やめられぬ その日暮らしも 慣れたもの 不確かさより 目の前よ 雪解け水が 流れ込み よろずぽかぽか 動き出す 右へ左へ 思うまま 風吹く方へ 思うまま 曲江  杜甫 朝回日日典春衣 毎日江頭尽酔帰 酒債尋常行処有 人生七十古来稀 穿花蛱蝶深深見 点水蜻蜓款款飛 伝語風光共流転 暫時相賞莫相違

          今日も明日も

          それでも生きる

          時間にゃ勝てん 過ぎ去りし 置いていくなよ 一人だけ 時間にゃ勝てん 流れ行く 悩みばかりが 駆け巡る 秋の便りに 耳澄まし 酒でも飲んで 忘れよう そんな時には 大好きな 歌でも聴いて 過ごそうよ みんななりたい 穏やかに みんななりたい 健やかに 嘆くだけでは 変わらない 空を見上げて 息吐いて 忘れらんなきゃ 付き合うか 忘れらんなきゃ 逃げちゃおう いいことあるさ 生きてりゃさ いいことあるさ そのうちさ 思い通りに なるものよ 「ならぬ」「できぬ」も また自分 じっ

          それでも生きる

          はじめの一歩

          いつも通りが ありがたい 波風たたぬが 安心よ 降りゆく雪は 肌に溶け 積もるほこりも 吹けば消え 先手先手の 行動よ 屋久杉だって はじめは芽 白鷺城も 石ころよ 千里の道も 一歩から 要らぬプライド 捨て置いて 地道な努力が 一番よ 見方変えれば 「ある」は「なし」 見方変えれば 「なし」は「ある」 油断大敵 終わりこそ 初心忘るる べくあらず 余分な欲とは さようなら 今を見つめて 足るを知る 「しない」をするも また一つ 分をわきまえて 過ごすのみ よろず自然に 身を

          はじめの一歩