Note 32: 台風の前の日に懐中電灯を買いに行ったらムカついた

さかのぼって台風の前の日、 何か対策しようと思って食料品の買い貯めに行ってみた。

水を買う、とか、水が売り切れていた、という話が多かったが、ぼくは病を得てからアマゾンで毎月ミネラルウォーターを買っているので(持ってくる人ご苦労様……)その点は大丈夫。
カップ麺なども買い貯めがあったので、冷蔵庫で大丈夫そうな、味の濃いおかず類を大量に買った。
(けっきょく翌日ぜんぶ食べてしまって、気持ち悪くなったが……)

その後、買い物客の中に「懐中電灯……」と言っている人がいたので、そうかと思って買いに行った。
こういうしょうもない買い物と言えばおなじみ!(ひどい)100円ショップ、ダイソーに行った。

ラッシュにぶつからないように早めに行ったのだが、同じ考えの人が多かったらしく、ローカルの善男善女でごった返している。
店員に「懐中電灯ってありますか」と聞くと、苦笑して「もう一番ちいさいのしかないんです……」見ると「ミニマムライト」本当に小さいよ!

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親指と人差指でつまむサイズ。LR41ボタン電池を4つ直列にする。
けっこう光は強そうだが、ボタン電池が「この電池はテスト用です。通常の電池より早く消耗する可能性があります」と注記されているのがコワイ。
でもないよりマシと思って買った。
そしてもう1つ、USBタイプの電気スタンドというのも買った。

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これも小さいわ!
停電のときにUSBどうするのって話があるけど、iPhone用の充電池があるから、それに繋げばまあまあ行けるだろうか。
これも話の種に買ってみた。
この時点で「懐中電灯ないのか……」みたいな感じで、客は潮が引くようにいなくなっている。

ていうか、ここまで自分で書いて思ったけど、ぼくはiPhoneやiPadを持ってるから、たとえ停電になってもそれを満充電していればまあまあ灯りになるのだ。ノートパソコンもある。iPhoneには懐中電灯機能もあるから、懐中電灯なんかいらないような気がする。
ま、気は心ね。

勢いに乗って近所の家電量販店に行ってみた。
客が1人もいなかった。

手持ち無沙汰そうにしていた年配の男性店員に「懐中電灯ありますか」というと「もうありませんよ!」と食い気味に返してきた。
なぜかものすごく不機嫌そうである。
おそるおそる「じゃあ、充電式の……防災用のランプのようなものは……」と言うと「ハア!?」と聞き返してくる。
「ホラ、停電のときに点くランプみたいなの……テレビショッピングとかでたまにやってるじゃないですか……」と聞いてみると「ありませんよ! そんなものは!」と吐き捨てるように言う。
なにか私、あんたにした?

そうじゃなくて、接客が邪魔くさいだけなのである。
こういう店員さんは、実は多い。
自分が知らないことを聞かれるのが特にイヤなんだろう。
それにしても、商店街のパパママストアの親父ならともかく、量販店にも進出していたとは知らなかった。
堂々たる壮年、熟年であって、何なら支店長かもしれない。
超・塩対応。
超ぱるるである。

そのとき、レジの横になんかあやしいものが目に入ったので、軽く手をあげて店員との会話を打ち切ると、そっちに行ってみた。
果たして、こんなものがあった。

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コンセントに挿しっぱなしにしておくと、地震を感知して点灯する。
手動でモードを切り替えると懐中電灯になるという。
まさにピッタリじゃないですか!
これを探してたんですよ店長さん!(店長さんかどうか知らないけど!)

3千円もした。
その価値があるかどうか分からないけど、行きがかり上買ってしまった。

それにしても、リアル店舗の店員ってなんでこんなに態度が厳しい人が多いんだろんだろ。
言ってしまえば、若い人より年配の人にその傾向が高い。
おばちゃんよりおっさんが厳しい。
「なぜ、俺のような人物が接客なんかしなきゃいけないのか……」という、負のオーラをあからさまに身にまとっているのである。
だったら別の商売すればいいのに、なぜわざわざ店員を続けるのか。
不思議でたまらない。

そして「ない」と断言した製品が、素人の客がちょっと探せば、見つかった。どういうことだ。
そんなんじゃ何の商売をやってもうまくいかないよ。
猛省を促す。

よく、アマゾンがリアル店舗を殺すと言われる。
ネットでアマゾンなんか使って買い物をしている引きこもりの人が、地元の温かみのある個人商店を潰していると言う。
ネットを使わず、地域の本屋で買わないと「書店文化」が壊滅すると言う。
地元の本屋が小さくて在庫がなくても、カウンターで注文したらそのうち届くから、それを待てという。

実際は個人商店の店員は「怖そうだから声を掛けられない」場合が多い。
ぼくぐらい図々しい人間でも、そう感じる。
そして、上に見たとおり、経験に基づく根拠がある懸念だ。
本屋で本の注文したら、何回も「ハア?」と書名を聞き返される。
「帯をギュッとね!」とか、「賭博堕天録カイジ ワン・ポーカー編」とか、そういうマンガの題名を言うのがメチャクチャ面倒だ。

リアル店舗の店員さんで、接客してもらって気持ちがいいのは、コンビニで働いている若いフリーターと、あと、外国から出稼ぎで来ている人たちだ。
生活が掛かっているからかもしれないが、真面目で、いきいきしていて、愛嬌があって楽しい。
だからコンビニはよく使う。
リアル店舗の中でもコンビニが賑わっているのは、そういう理由だと思う。

アマゾンのチャットで対応してくれる人も、水を持ってきてくれるヤマトの人も、みな気持ちがいい。もちろんマニュアルトークだけど、マニュアルがきちんとこなせてるというのは素晴らしいことだ。
流行る商売、流行らない商売っていうのは、ちゃんと理由があるんじゃないですか。
俺もじゅうぶんオッサンだけど、客に不機嫌そうに思われないように、せいぜい頑張ろうと思う。

(この項おわり)


会社員兼業ライターの深沢千尋です。いろいろ綴っていきますのでよろしくです。FaceBook、Twitterもやってますのでからんでください。 https://www.amazon.co.jp/l/B005CI82FA