Note 47: 月蝕歌劇団の11月公演「新撰組 in 1944」が楽しみだ!

今月の終盤には、贔屓にしている劇団「月蝕歌劇団」の公演がある。
演目は「新撰組 in 1944」。
初見の方は何のことかわけがわからないと思う。

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チラシの絵を見ても、いまいち意味が分からないだろう。
当たり前だ。
もう何年間も、ほぼ毎公演、複数回見に行っているぼくも、何がなんだかよく分からない。
アートは、分からなくても楽しめる、エンタメは、サッパリわけが分からなくても、腹を抱えて笑えるということを教えてくれた劇団だ。
絵画で言うとピカソ、音楽で言うと山下洋輔のような存在である。

もっとも、ぼくは演劇なんか見に行くキャラじゃなかったし、いまだに演劇のことが良く分からない。
ひとつ、当たり前のことを言うと、演劇は「時間と空間」に非常に関係がある。
いまは鬼のように便利な世の中で、携帯電話で古今の名作小説が読め、音楽が聴けるし、タブレットで名作映画が見られる。
そういう生活がぼくは大変気に入っていて、このnoteでもそういう電子生活、便利生活を称揚している。

そういった観点からすると、演劇というのは、言ってしまえば不便の極地だ。
わざわざ電車に乗って、決まった時間に、用事でもなければ絶対に行かない場所にある劇場に行く。
並んで、チケットをもらい、席取りをする。
始まってしまえば、動きが制限され、トイレに行きたい、お腹が空いたというのを我慢しながら、2時間ほども座っている。

それでも、そんな不便を耐えただけの甲斐があると言うか、その不便が生む楽しみというか、快感がある。

演劇は一回も同じにならない。
月蝕の舞台ではマッチを擦ることが多いけど、マッチの火も、音も、煙も、匂いも、擦るたびに違う。
成功もあれば失敗もある。
ぼくはある舞台を見たら、主役の人が舞台に出てきて、周囲を見回し、何もせずに出ていったことがあった。
終演後に出演者の方に声を掛ける機会があって、「あそこが深くて良かったですよ」と言ってみたら、「あれは相手役の人が出てこなかったんですよ」と苦笑された。
そりゃそうか。
でも、そんなのも楽しみである。

月蝕歌劇団では大きな出来事があって、去年の冬に、主宰で脚本、演出をすべてやっていた、高取英さんが亡くなった。
太陽系における太陽が爆発したようなものと思われたので、「今後どうするの月蝕歌劇団……」と思わずにはおれなかった。
ところがそれが、ここに来てめっちゃ盛り上がっているのだ。
高取さんの実娘であった白永歩美さんが舞台に復帰され(高取さんが亡くなってから正式に公表)、かつて高取さんがスタッフを勤めた寺山修司の天井桟敷で音楽をやっていた、今は万有引力を主宰されているJ・A・シーザーさんが監修をされている。
むかし出演していた女優さんが次々にカムバックされて「ドリームモーニング娘。」状態だ。
もちろん新人も、びっくりするような若手が毎回参加して、ホントに楽しい。
ということで、あんまり冷静に観ることが出来てないような文章になっているが、楽しいからいいでしょう~~。

いぜん高取さんが「月蝕は暗黒の宝塚って通り名がついてるけど、ぼくは宝塚音楽学校の学芸会みたいな感じを目指している」みたいなことをおっしゃっていた気がする。
(※不確かな記憶です)
わかるわー。
いつまでたっても手作り感覚の劇団だ。
そこがいい。

さいきん驚いた出演者が永野希さんだ。
もともと作詞家、歌手で有名な人が、急に月蝕で立て続けに主演を演じられるようになった。
おかげで新しいお客さんがドッと増えた。
この人が、めちゃくちゃ、笑っちゃうほど月蝕っぽい。
一時は月蝕も、女優さんがバタバタと出られなくなった時期があったけど、この人が出るようになって一気に盛り返した気がする。
こんな、月蝕に出るために生まれてきたような人が、これまで隠れてたなんて不思議なもんだなー。
ちなみに怪獣オタクで有名な漫画家、永野のりこさんの実娘さんで、マンガ「小さなのんちゃん」のモデルになった人だ。
ていうか読んでたー!

ということで、もう間際だけど、まだ観られると思うので、気が向いたら見に来てください。
って関係者でも何でもないけど、おいらスゲー見に行きます。

(この項終わり)


会社員兼業ライターの深沢千尋です。いろいろ綴っていきますのでよろしくです。FaceBook、Twitterもやってますのでからんでください。 https://www.amazon.co.jp/l/B005CI82FA