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教皇が目指す「シノダリティ」

2023年10月に世界代表司教会議(シノドス)がバチカンで開かれます。テーマは「For a synodal Church: communion, participation and mission(シノドス的教会のために:交わり、参加、宣教)」です(↓が概要)。

普段は、各国で意見をまとめ、それをローマに持ち寄るとのですが、今回はその間に「大陸フェーズ」があって、22年の秋頃に各大陸(日本はアジアのFABC)で集まって、アジアとしての状況をまとめます。第2バチカン公会議を地元に落とし込み、「解放の神学」が発展していったラテンアメリカ司教協議会連盟(CELAM)の歩みを、アルゼンチン人の教皇は踏襲しているのだろうと想像します。面白い試みでしょう。

ミサ典礼の翻訳承認を各司教協議会に任せたり、結婚に関するおきての判断を各司教に委ねようとするなど、すべてをローマが決めて世界中に命令するスタイルをとらないフランシスコが大切にするキーワードが「シノダリティ(synodality)」です。これについて、いくつか解説記事が出ています。

「聴く」は「変わる」ため

(2021年7月19日付 LaCroix)シノドス的なプロセスの始まり、そして中心は「聴く」こととされています。「聴く」ことは、単に聞くことと違っていて、また議論することでもないといっています。さらに、神学的議論でもない。「変わる」ことを前提としないと意味がないといっています。

教会の決定は 可能な限り多くの信者の意見を聞いた上で

(2021年7月22日付 LaCroix)これは、シノドス事務局次長のシスター、ベカーの解説です。そもそも、シノドス事務局では初の女性次長だそうで、教皇庁全体でもこういう高位に女性が就くのは大変珍しい。フランシスコによる最近の任命です。

教会の中ではすべての人が声をもつべきで、したがって、教会のシノダリティとは、ともに働き、まず互いに聴き合い、次に聖霊の声を聴くこと。「教会は実際、シノダリティと同義語」とも言っています。シノダリティは霊的プロセスでもあるので、聖霊にも耳を澄ませなければならない。意見の多様性はまったく重要で、異なる経験をもった異なる人々が集まることで、よりよく聴くことができる、とも述べています。

シノドス第16回通常総会 進捗

(2021年7月26日付 LaCroix)23年10月の総会に向けて、さまざまな担当が決まっているようです。7月8日には、総書記に、上智大で教授をしていた、オルリッシュ枢機卿(ルクセンブルグ)が任命されました。その他、シノドス事務局長、グレック枢機卿、次長、シスターベカーのもと、準備が進んでいます。

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