2021 ブリーダーズカップ ターフ 展望
登録状況
Acclimate (P. ダマト)
Astronaut (J. シレフス)
Domestic Spending (C. ブラウン)
Gufo (C. クレメント)
Imperador (P. ロボ)
Love (A. オブライエン) 第2希望:フィリー&メアターフ
Loves Only You (矢作 芳人) 第1希望:フィリー&メアターフ
Rockemperor (C. ブラウン)
Sisfahan (H. グレーヴェ)
Tarnawa (D. ウェルド) 第2希望:フィリー&メアターフ
Teona (R. ヴェリアン) 第2希望:フィリー&メアターフ
United (R. マンデラ)
Walton Street (C. アップルビー)
Yibir (C. アップルビー)
15. Japan (A. オブライエン)
16. Tribhuvan (C. ブラウン)
17. Broome (A. オブライエン)
18. Bolshoi Ballet (A. オブライエン)
19. Channel Maker (W. モット)
20. Channel Cat (J. シスターソン) 第2希望:マイル
21. Mogul (A. オブライエン)
22. Friar's Road (M. マッカーシー)
10/29現在、Imperadorが回避し、補欠1番手のJapanが繰り上がり。
これに加え、同厩の補欠馬を出走させるためフィリー&メアターフへ出走予定のLove、第1希望がフィリー&メアターフのラヴズオンリーユーが回避すれば、補欠2番手のTribhuvan、3番手のBroomeまで出走できるというのが現在の状況。
ここでポイントになってくるのは、補欠4番手がBolshoi Balletという点。
これ以上回避馬が出なければ、エイダン・オブライエン師がBroomeを引っ込めてBolshoi Balletを出すという選択肢は十分あり得る。
逆に出走回避馬が続出するようだと、Loveを第1希望のターフにスライドさせる可能性が高い。
クロスエントリーしているラヴズオンリーユー、Tarnawa、Teonaの動向が、出走馬の顔ぶれ及びレース展開に大きく影響を及ぼす。
※Love、ラヴズオンリーユーはフィリー&メアターフに出走のため、Tribhuvan、Broomeが繰り上がり。
Domestic Spending、Unitedが回避し、Bolshoi Ballet、Channel Makerが繰り上がり。
展開予想
ハナを切りそうなのはAcclimateとTribhuvan、補欠5番手から滑り込んだChannel Maker。
この中で最もハナにこだわりそうなのはChannel Maker。
先行3頭を見る形でWalton Street、Broome、Teona。
Japanも比較的前目につけそう。
中団はRockemperor、Astronaut、Bolshoi Balletあたり。
後方グループはTarnawa、Sisfahan、Yibir、Gufoといった面々になりそう。
Gufoは毎回最後方からレースを進める馬だが、YibirやSisfahanが追走に苦労するようだと、これらより前で競馬をする可能性もある。
エントリー時点での逃げ馬はAcclimate1頭だったが、TribhuvanとChannel Makerが繰り上がったため、ペースは流れそう。
タルナワの評価
1番人気が予想されるTarnawa。
欧州の2000~2400m路線にはMishriff、Torquator Tasso、Alpinista、Love、Adayar、Hurricane Lane、Sealiwayなど強豪がひしめいてはいるものの、今現在この路線での最強馬はTarnawaと言って差し支えない。
昨年のBCターフでは、常時馬場の外目を走り、4コーナーではかなり外を回してMagicalとChannel Makerを差し切るという離れ業をやってのけた。
今年もアイリッシュチャンピオンSと凱旋門賞でほぼ勝ちに等しい僅差2着。
馬場不問で、これと言った欠点は見当たらない。
強いて挙げるなら、後ろから行く馬なので不利や距離ロスの影響を受けやすい点。
また、デルマーだと大外回って直線一気という昨年のような競馬は難しい。
あとは凱旋門賞の疲労、全盛期というかピークの状態からは少し落ちている可能性があるか?といったところ。
ウェルド師は馬場の固さを気にしている模様。
ドメスティックスペンディングの評価
2番人気が予想されるDomestic Spending。
ターフクラシックS→マンハッタンS→ミスターD.S (アーリントンミリオンS) →BCターフというローテーションは一昨年のブリックスアンドモルタル (Bricks And Mortar) と全く同じであり、予定通り。
ブリックスアンドモルタルの際はターフとマイルの両にらみで、そもそもBCに出てくるのか?という疑念さえあったが、今回は陣営に成功体験があり、ターフ一本に絞っての調整なので、コンディション面や初距離への不安という点では厩舎の先輩より少ない。
ミスターD.Sでは伏兵Two Emmysを捉え損ねたものの、負けて強しの内容。
これまでのレースぶりから、距離延長で大きくパフォーマンスを下げることは考えづらい。
12ハロン (2400m) がベストかはさておき、10ハロン (2000m) よりは11ハロン (2200m) の方が良さそうに見える。
デルマーということで差し損ねの心配は付いて回るものの、能力的にはブリックスアンドモルタル同様、地元馬には負けないものと思われる。
※Domestic Spendingは出走取消。
イビアーの評価
2~3番人気が予想されるYibir。
今年初戦のクラシックトライアルではLone Eagleに次ぐ2番人気。
逃げて勝ったAlenquerから3/4馬身差の3着。
2着は後にダービーを勝つAdayar。
その後リステッドを2回走った (2、4着) 後、去勢。
去勢後はバーレーントロフィーS 1着、ゴードンS 6着、グレイトヴォルティジュールS 1着、ジョッキークラブダービー 1着と、覚醒した感がある。
この馬、Good To Soft以下の渋った馬場では 0-1-2-3 だが、Good以上の乾いた馬場では 5-0-1-0 であり、堅い馬場は大歓迎。
能力的にはBolshoi Balletより1、2枚上と見ていい。
テンのスピードに欠ける点はマイナス材料だが、エンジンがかかってからの末脚には目を見張るものがある。
粗削りなレースぶりからデルマー向きとは言い難いが、実績馬をまとめて負かしたとしても驚きはない。
その他有力馬の評価
Teona (ティオーナ)
成長著しい3歳牝馬。
前々走オーガストSでは古豪Desert Encounterに3馬身1/4差で完勝。
前走ヴェルメイユ賞ではオークスで28馬身差つけられたSnowfallを抑えて勝利。
馬場悪化を理由に凱旋門賞をスキップしてここに臨む。
昨年ヴェルメイユ賞とBCターフを勝ったTarnawaと比べてどうかと言われれば、タイプも年齢も臨戦過程も違うので何とも、と言ったところ。
前で競馬ができる点はプラス材料で、斤量の恩恵を活かせれば。
Walton Street (ウォルトンストリート)
7歳にしてキャリアハイのシーズンを送っているセン馬。
前走カナディアンインターナショナルSでは格の違いを見せつけ圧勝。
前々走ベルリン大賞ではAlpinistaの3着 (2着Torquator Tassoとは1馬身差) と、確かな実力を持つ。
欧州での実績は前述のベルリン大賞3着くらいだが、今年のドバイでは1着、1着、4着 (ドバイシーマクラシック) と結果を残している。
似たような戦績で、ほぼ同じローテだった一昨年のOld Persianが大敗 (11着) している点は気がかり。
勝ち負けまで持ち込めるかは何とも言い難いが、Teona同様、前で競馬をできる点は強み。
Tribhuvan (トリブヴァン)
マイペースで逃げることができればしぶとい5歳セン馬。
前々走ユナイテッドネイションズSは強い勝ちっぷりで、3走前のマンハッタンSもDomestic Spending相手に見せ場たっぷりの2着。
北米芝中距離路線のNo.2と言っても過言ではなく、2番手からの競馬となった前走ソードダンサーS (5着) で評価を下げる必要はない。
今回はハナを切りたいところだが、前走でも先手を奪われたChannel Makerの存在が厄介。
好走するには引かずにハナを取りきるか、単騎2番手の形から早め先頭で後続をひきつけない必要がある。
ここ2戦で手綱を取ったフラヴィアン・プラから、ホセ・オルティスに乗り替わり。
元フランス調教馬で、ドイツ牝系。
Gufo (グーフォ)
堅実な末脚が武器の4歳牡馬。
追込という不安定な脚質ながら、4着以下が1度もない。
3歳時はDomestic Spendingと差のない競馬をしており、Tribhuvanと並び、現在の北米芝中距離路線でDomestic Spendingに次ぐ存在。
前走ジョーハーシュターフクラシックSでは、4コーナーで早くも先頭という積極的すぎるまくりで脚をなくし (3着) 、クレメント師もレースぶりに苦言を呈していたため、今回はある程度脚を溜める競馬をすることが予想される。
かと言って悠長に構えていたら届かないので、鞍上 (ジョエル・ロサリオ) の腕が問われる。
父はJBBA静内種馬場で供用されているデクラレーションオブウォー (Declaration Of War) 。
Rockemperor (ロックエンペラー)
一昨年はベルモントダービー 3着、昨年はマンハッタンS 2着、ターフクラシックS 3着などG1で勝ちきれないレースが続いていたが、前走ジョーハーシュターフクラシックSでG1初勝利を飾った5歳牡馬。
5走前マンハッタンSではDomestic Spendingに7馬身差をつけられているが、これは直線で前が壁になり追えなくなる不利が大きかった。
確かな末脚は持っているものの、前走は展開に恵まれた感もあり、急に強くなったという感じはあまりない。
元フランス調教馬で、Sottsassが勝ったジョッケクルブ賞 (フランスダービー) 6着馬。
Tribhuvanとは同厩で、オーナーも同じ。
Sisfahan (シスファハン)
今年のドイチェスダービー (ドイツダービー) では外ラチ沿いを追い込み、父子2代ダービー制覇 (父Isfahanは2016年の優勝馬) を達成した3歳牡馬。
前々走バーデン大賞は凱旋門賞馬Torquator Tassoの2着 (1馬身差) 、前走オイロパ賞はベルリン大賞でTorquator Tassoを下したAlpinistaの3着。
将来が楽しみな馬ではあるが、今回のレースは一気の相手強化、馬場への適応、小回りのデルマーなど不安要素が多い。
ドイツ調教馬ではあるが、フランス生まれでドイツ牝系ではない。