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植田寿乃連載『令和を活きる、未来を拓く』 第5回 あなたの『心』は活きていますか? 「鈍化」「劣化」「老化」していませんか?

 キャリアビジョンやイキイキ働くという意味が実はわからない、働き方改革の本質も腹落ちしていないのに、それを社内でリードしなくてはならないという、昭和世代、特に50歳以上の管理職や経営職の立場の方と会話をすることが増えている今日この頃です。彼らの特徴は、仕事への責任感は非常に強く、求めあれる役割を果たし実績を上げてきたという点で、会社に評価されて然るべきポジションに着いています。しかしながら、頭、つまり左脳中心で働き続けている方が多く、自分自身の『心』があまり使えていません。頭(左脳)と同じくらいに、心(右脳)も使えている方は、時代が求める『人間力リーダー』です。

 皆さんの会社を見回してください。「頭」と同じ以上に「心」もしっかり使えている『人間力リーダー』はどのくらいいらっしゃいますか?特に50歳以上の部長職、経営職の方々にどのくらいいらっしゃるでしょうか?
現時点で『人間力リーダー』でない方は、心を使うことなく、それを使う必要性も感じず、さらには『心』って何とすらわからない方々です。そういう方々の心は、「鈍化」か「劣化」もしくは「老化」してしまっているのかもしれません。あなたの『心』は活きていますか?

① 自分の心の状態(充実感、イキイキ度合い)がわからない
② 周りの人の心の状態(何を考えているではなく、何を感じているか)がわからない
③ そもそもなぜ、『心』を大切にしなくてはらないかもわからない

これに当てはまる方は、さらにこんな悩みを持っています。

・チームメンバーが、自分に悩みを何も相談してこない
・メンバーが心を開いてくれない、心に壁を作っている
・自分の言っていることが伝わらないメンバーがいる

どれも相手に問題があるように、捉えていますが、これは全て自分自身の「心」が問題です。自分の心と向き合っていない、動いていない、開いていない、その結果が、相手の状態に鏡となって映し出されているのです。

★知らぬ間に「鈍化」★

 思い出してください。小学生の頃、心がワクワクして何かに夢中になっていた時、何かをやりとげたりしてとても嬉しくてたまらなくなった時、自分の体の中からやる気が満ち溢れていた時、そんな時のことを作文に書いたりしていたのではないでしょうか?中学生、高校生となって、嫌いな勉強もあるけど、好きなことは徹底的に自分から調べたり学んだり、また音楽や、スポーツに没頭したりした思い出があるはずです。私たちの青春時代のキラキラした思い出のその時、私たちの心は躍動していました。

 しかし、昭和時代、会社に入社すると、軍隊型組織、感情を押し殺して企業戦士として働くことを求められました。役割を果たして結果を出し、評価されて出世するというサラリーマンの王道を突き進む価値観を植え付けられてしまいました。その結果「心に蓋」をして頭だけ動かして働くというのが当たり前になってしまった人たちが、現在の50代に多い。中でも上位職まで上り詰めている人ほど、「心の蓋」は厚くなっています。もちろん、心の蓋は、プライベートな時間、つまり家族との時間は外れるわけですが、長時間労働が美徳だった企業戦士たちは、心の蓋を取る瞬間がほとんどなくなってしまった。だから、心が使われなくないまま、動きが鈍くなってしまう。これが心の「鈍化」です。

・自分が何を考えているか?
・自分の考えていることをメンバーにどう伝え、メンバーを動かすか?
・メンバーがどう考えているか?

 頭ばかりが動いてしまい、「心」を意識しません。だから、考えていることを伝えているのに、メンバーが動かない場合に、伝え方が悪いのかと迷路に陥ります。伝え方が悪いのか?メンバーは頭で理解していていも、腹落ちしていない、心に響いていないから、伝わっていないから動かないのです。自分の「心」が動かしていないから、相手の「心」も見えないし、感じられないのです。
 この「鈍化」の時点で、気づけないと大変なことになります。なぜなら、鈍化が長く続くと、心は「劣化」していきます。

★「鈍化」が放置されると「劣化」へ★

 自分のチームメンバーの欠点や問題点ばかりを指摘するリーダーがいます。見ていると自分の意見に対してYesまたは何も言わずに従うのが良いメンバー、Noや違う意見を言うメンバーはダメなメンバー、問題児とみなして、その意見を潰してしまったり、無理やり自分に従うようにさせたり、ひいてはチームから外そうとすらします。今の時代は目に見えてのパワハラでは出来ませんが、巧妙な心理的なパワハラを行っていたりします。

 これは心の「劣化」の現れです。私はこれを、心が暗黒面に落ちてしまったと表現をします。リーダーとメンバーの関係を上下でとらえ、メンバーはリーダーの言うことをきくべきという軍隊型の命令系統に頭が洗脳されているだけでなく、心まで完全に麻痺してしまい、ダイバーシティな精神の原点を見失ってしまった状態です。

 心がこの「劣化」の状態に陥っていてしまうと、抜け出すことが難しくなります。なぜかといえば、もはや自分の状態に気づけなくなります。悲しいがな、気づく瞬間は大トラブル、大事件が起きた時です。

 昔々、私は35歳の時にANAグループで30名の部下を率いるIT部門の事業部長でした。業績をガンガンあげまくる超やり手な軍隊の隊長型の部長でした。業績を上げ続けていましたが、職場の雰囲気は殺伐としていた・・・・(その時は気づけなかった)私の心は「鈍化」から「劣化」の域に達していました。そして、何が起きたか、

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30人のメンバー全員が役員に辞表が役員に提出し、訴えました。
「植田さんには人の心がない、彼女が辞めるか僕たちが辞めるかそこまできています」
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 私にとって、この人生のトピックこそが『心』の重要性を体に叩き込まれた瞬間で、『心がしっかり使える人間力リーダー』を目指そうと思った原点となっています。
 ただ、私の他の心が「劣化」しているように見えるリーダーには同じ体験をして欲しいとは思ってはいません。だからこそ見かければ、アドバイスもします。しかし、残念ながら、心が劣化しているとそのアドバイスすら本人の心に届きません。
 
★年齢とともに「老化」している可能性も★

 そして、最後に気を付けなくてはならないのは、心の「老化」です。私も昨年、還暦となりました。確実に体力の衰えは感じていますが、海外旅行が私の趣味でもあるので、数年後にまた海外に沢山旅したいので、体力維持、特に足腰の運動を前にも増してやっています。
人生100年時代を健康に生きたいと皆、願うはずです。でも、単に健康で長生きだけではつまりません。活き活き長生きしたいと思いませんか?

活き活きとは何か、充実感であったり、満足感であったり、ワクワク感であったり、幸福感であったりと、全て感じるものです。どんな時にイキイキしますかという質問に。

・美味しいものを食べた時
・コンサートに行ったとき
・パチンコや競馬で当たったとき

と行う答えをする50歳以上の方がいます。この答えはどれも瞬間を切り取った感情の、「おいしい」「楽しい」「嬉しい」であって、『活き活き』ではありません。ある意味、赤ちゃんや幼児と同じ、動物的な感覚とも言えます。『活き活き』はもっと自分の存在意義に直結していく充実感や満足感です。自分の心の深いところでの動きです。だからこそ、しっかり自分の心と向き合い、心を大切にしていないと感じられなくなります。つまり、活き活きを感じなくなってきているなら、まさしく心の『老化』しているのです。

 私は自分の心を『老化』させたくありません。だから、自分の心の動きを、定期的に振り返ります。1週間に1回、ゆっくりとお風呂につかりながら、その週を振り返ります。嬉しかったこと、感動したこと、悲しかったこと、いらいらしたことを見つめます。また、月に1回、自分のモチベーションを充電するパワースポット(自分の心が静まり、大地のエネルギーを吸収できるようなお気に入りの場所)に行きます。そこを2時間かけて散歩することで、私は自分の心の原点に戻り、リセットをします。そして、もう1つ大切にしているのが、若い世代(30代40代)の人たちとのコミュニケーションです。30代40代の人たちの考え方、感じ方、エネルギーが私の心を刺激し、私の心の情熱を呼び起こす宝物のような時間です。
 これは、私の心の老化対策ですが、それぞれに、自分の心を活性化するための方法を見つけていただくことが良いでしょう。 活き活きと生きて、働き続けるためにも!


Que Human Mind Dojoは自分自身の「人間力、心」を磨く場です。自分の心としっかり向き合いたい方は、是非、この3つのプログラムがお勧めです。

心のエンジンを知る
https://www.qhmd.que.co.jp/programs/qhmd0511/

EQ(心の知性)人間力を知る
https://www.qhmd.que.co.jp/programs/qhmd0525/

心のプロセスを知る
https://www.qhmd.que.co.jp/programs/qhmd0608/

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