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植田寿乃連載『令和を活きる、未来を拓く』 第6回 あなたと会社の関係は?「結婚」ではなく「エンゲージメント(婚約)」!

今年の3月は、いろいろな企業や組織での事業転換や組織改編が大きく、それに伴っての人事異動も激しいように思います。個人的なキャリアカウンセリングの相談が昨年よりもずっと増えているからです。若手の抜擢人事でリーダーになった人、ヘッドハンティングを受けて転職した人、コロナを追い風に起業を決めた人など、未来に向かってワクワクドキドキしている30代、40代の方々は、笑顔が溢れています。
しかしながら、想像していなかった人事異動、役職定年、転籍、役員退任などとなった50代半ば過ぎた人たちの表情は暗く、心も曇っているようです。

「何のために会社に人生を捧げてきたのか、会社からいらなくなったというか、裏切られた感じがする。まだまだ自分としてはやれるのに・・・」

「50代半ばを過ぎ、自分もいつかと薄々と感じてはいたけれど、いざ自分の番になると頭が真っ白で、どうしたらいいかがわからない」

「ここからはキャリアの下山が始まりだよと先輩に言われたけど・・・」

「1つの会社しか知らないし、この年齢で他の会社で働くことはできるのだろうか?」

「会社を卒業するとして自分が何をやりたいかがわからない・・・」

「何でもいいから生涯現役で働きたいけど、どこでどう働いたらいいのか・・・」

 50歳以上の昭和世代は、まさに「終身雇用」の人生観が染みついています。つまり、最初に就職した会社に定年まで勤め続けるというのが会社人生の王道という考え方です。転職や起業する人は、ごく一部で、外資系企業でキャリアアップを考えたり、起業家精神旺盛でベンチャーを立ち上げたりする異端児でした。

この「終身雇用」の感覚は、ある意味「結婚」に似ていると思います。結婚は、1対1のパートナーシップの締結です。生涯1伴侶と添い遂げられたら幸せかもしれません。入社試験は「お見合い」です。会社は「この会社に入って活躍してくれる人材なのか?」と学生を見ます。学生は「この会社は自分の未来を開き成長させてくれるのか?」と会社を見ます。そして、相思相愛になったので、「入社=入籍」となります。そして、生涯添い遂げる・・はず。しかし、結婚生活というのは長年続けていると、新鮮味が薄れてきます。相手に対しての気持ち、情熱が冷めてきます。可もなく不可もなく、なんとなく惰性で日々が流れていく・・・。すると、何十年か過ぎ時点で突然に相手から「離婚」「卒婚」を切り出されてしまう。
まさに、不本意な人事異動、役職定年、転籍などがそれです。つまり、ここからはあなたの人生「自立」してください、会社に「依存」しないでくださいと言われます。そこで初めて、自分が信じていた「忠誠心」での働き方が、いつの間にか会社への「依存」にすり替わっていたことに気づかされます。

「自立して」自分の人生を自分で歩めと言われても、ファイナンシャルプランも、キャリアプランも何もない・・・という50代、特にバブル世代が日本に溢れています。こうなることは昭和時代が終わった時点でわかっていたはずなのに、目をつぶって土壇場になるまで準備をしていない人が多い。

 しかしながら、突き付けられた現実を超えるところから、本当の令和人生が始まります。ここから、会社と自分の関係を見直して、人生を歩み始めればいいのです。令和時代、入社試験はお見合いです。ここまでは昭和時代と同じです。しかし、お互いに見初めたら次は入籍ではなく「エンゲージメント(婚約)」です。つまり、お互いに魅力的であることを努力することが重要です。

★エンゲージメント ⇒ 人と組織が対等の関係で、互いの成長に貢献し合う関係
 
 エンゲージメントの素敵な関係を持続するためには、働く人はエンプロイアビリティ(雇用される能力)を磨き続けなくてはなりません。また会社は働く人が成長しイキイキ働けるような組織にならなくてはなりません。これをお互いがやり続けることが、「エンゲージメント(婚約)」は良い状態で継続させるために必要です。ある意味、緊張感を持った関係性といえるでしょう。

 ちなみに、私は2つの会社を経験して27歳で起業し失敗し、再び2社を経験して38歳で二度目の起業をして現在に至ります。私にとって会社との関係は「婚約」ではなく、「学校」と「生徒」の関係だったように思います。4つの学校で学びました。卒業のタイミングは、自分で決めています。「その学校で学ぶべきこと、成長ができないと感じた時」「学校の成長と私の成長のスピードが合わなくなった時」、そして、私は十分に学校で学んだと思った時に2回目の起業をし自立した人生を送っています。昭和世代としては、異例の人生観かもしれません。

 しかし、昨年、新卒で入社したばかりの20代前半の男性のキャリアカウンセリングをしました。

「親には言いませんが、入社したこの会社でとりあえず3年間は働くつもりです。仕事の基本的なことを覚えたら、転職します。いくつかの資格も取って、ゆくゆくは会社で働くのではなく、自分で独立して仕事をしていきたいと思っています。」

 もしかして、私の人生は令和時代の本流・・・になってくるかもしれない予感です。 

令和時代に、どう働いて生きていったらいいのか?4月16日のダイバーシティ&インクルージョン研究会でお話をします。興味がある方は是非お申込みいただけたらと思います。
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