見出し画像

フルート奏者の肩や腰の痛みは、演奏時の立ち姿勢によって起こるべくして起こっている?!

 フルート奏者の皆さん、身体に張りや痛みがなく演奏できていますか?
張りや痛みを感じる方、自分の演奏姿勢を客観的に見たことはありますか?

埼玉県熊谷市石原にある『整体サロンHarmonia』のしぶいちです。

 フルートを吹いている妻の演奏やお店に来ているフルート奏者の方をみていて理学療法士として思うことがあります。

「体のバランス崩れやすい姿勢での演奏疲れやすそうだな…」

・左右非対称な演奏姿勢
・楽器を空中に保持
・呼吸を使う

それでいて本番では休憩があるものの1〜2時間演奏を行うわけです。

先日書いた記事でも書きましたが、

同じ姿勢やポジションで演奏を続ければ必ずオーバーワークが起きます。オーバーワークなんてと思うフルート奏者の方もいらっしゃいますが、指先は演奏ごとに必ず動かすため疲労しているのです。

では、どんな姿勢になった場合にオーバーワークが起こりやすくなるのか、フルートの教本に載っていたりしますか?

そこで本日は、身体の負担を感じるフルート奏者の方にお伝えしたい『理学療法士が考えるフルート演奏の立ち姿勢』について感じるところについて書いていきます。

この記事を書く私、しぶいちはフルートに関する奏法やメソッドに関しては一切知りません。理学療法士の視点から解剖学・運動学に基づき演奏姿勢においての関節への負担がどうなったら大きくなるか説明していきます。

「あ!そうだったのか!」
「たしかにそういうことあるかも…」

といったご自身の発見につながれば嬉しいです。

フルート演奏の立ち姿勢について

 フルートの立ち姿勢は、神田寛明 著『もっと音楽が好きになる 上達の基本 フルート』という書籍によると

からだの向きは正面に対して30°〜45°傾ける

と書かれています。

からだの向きと書かれているのですが、正確に言うと

『上半身』『下半身』が一緒に30°〜45°傾ける

ということです。絵で表すと以下のような感じ。(青い楕円は下半身)

画像1

上半身、両腕で楕円を抱きかかえるような姿勢となります。フルート本体は正面と水平を保つ状態、首はその状態で自然と左に回旋する程度ではないかと思います。

ですが、意外にこの姿勢が出来ていない人は多く、

・上半身は正面を向き、脚のポジションだけ開いている人
・上半身は斜めに開いているのに、下半身は正面を向いている人
・上半身も下半身も正面を向いている人

がいます。上記した3つの姿勢は、関節や筋肉の機能を考えると負担がかかりやすい姿勢とになります。

なぜ負担がかかりやすいのか頭の上から身体を俯瞰して捉える水平面という位置でわかることを解説していきます。

上半身は正面を向き、脚のポジションだけ開いている人

 上半身が正面を向きである場合、下半身に対して上半身は左側にねじれるような姿勢となります。(青い楕円が下半身)

画像2

すると左の腰、左肩甲骨内側の付近に身体をねじる力を加える負担がかかります

左腰・左肩甲骨内側付近に力が加わったまま演奏続けば、左背中から腰にかけて疲労を起こし、張り・痛みにつながります。

また、楽譜を見るにあたって、フルートの位置を正面と水平な位置へ保ったまま演奏すると腕の位置関係も重要となります。左上肢では胸の前の筋肉に力が入りやすくなり、人によっては肩周囲の張りを感じる場合もあるかと思います。右上肢では、肩よりも肘の位置が背中側へ位置することが増え、肩の後方に張りや痛みを感じたり、右上腕から肘にかけて張りを感じやすくなります。

上半身は斜めに開いているのに、
下半身は正面を向いている人

 上半身は開いているのに下半身が正面を向いている場合、絵で表すと以下のようになります。(青い楕円が下半身)

画像3

すると、上半身を右方向へねじる力が常に働きやすくなり、右腰の張り、右背中の張りが出やすくなります。人によっては、ここに左肩の前側の張りや右肩の張りが出てくる場合もあります。

上半身も下半身も正面を向いている人

 上半身も下半身も正面を向いている場合、絵で表すと以下のような感じになります。(青い楕円は下半身)

画像4

 すると、上半身・下半身でのねじれは生まれないため、ねじれによる腰の負担はみられませんが、フルートと上半身の位置関係から左上肢は胸に近づき、右上肢は、肩よりも肘を背中側へ位置させた状態でフルートを保持しやすくなります。そのため、左胸の張りや右肩後方の痛み、右肩外側から肘にかけての張りなどを感じやすくなります。

演奏姿勢は人それぞれ

 上半身と下半身の位置関係を見るだけでも腰や肩周りに起こる負担があることを大雑把に捉えていただくことが出来ましたでしょうか。楽な演奏姿勢は人それぞれで、からだを開いておく角度も45°が良い人もいれば35°が良い人もいるかもしれません。

ですが、上半身と下半身の向きが異なる方向であることが楽な人は、骨格構造上まずいないと思います。ねじれる姿勢が楽だと感じる方は、すでに骨格に歪みがあり、立ち姿勢や座ったときの姿勢の崩れがみられる可能性があり、日常的に肩こりや背中の張り、腰痛などが起こりやすい環境になっていることは間違いありません。一度、痛みなどを感じない身体の環境に調えていただいたほうがよろしいかと思います。

前述してきた姿勢を実際に試してもらうと負担の感じ方を理解することが出来るかと思いますので実際にやってみてください。

終わりに

 フルート演奏姿勢を上から俯瞰して解説してみましたがいかがだったでしょうか。レッスンでは、より抽象的な捉え方や指導が多く、具体的にどういう原因で演奏姿勢が崩れているのかなど理解できない場合もあるかと思います。少しでもわかりやすく解説していきたいと思っていますのでよろしくお願いいたします。

ご案内

整体サロンHarmoniaでは、楽器奏者に特化したコンディショニングを行っています。

楽器演奏中の身体の張り・違和感・痛みなどありましたら、店舗でもオンラインでもご相談いただけますので、上記リンクをご参照ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?