手術note08 食道裂孔ヘルニア

※ この記事は小動物医療関係者向けです。

6歳のメスの雑種猫さん、レントゲンで偶発的に食道裂孔ヘルニア(滑脱型)が見つかりました。

もともと食欲少なめでたまに嘔吐があり、少し痩せ体型で、食道裂孔ヘルニアとの関連は明確ではありませんでしたが、手術による整復を行いました。

術式  :食道裂孔ヘルニア整復術(同時に避妊手術)
手術時間:50分
麻酔時間:105分

上腹部の正中切開で食道裂孔部に腹腔内側からアプローチしました。
肝臓を右側に避けて食道裂孔部を確認します。
食道裂孔において食道と胃噴門部は非常にルーズで可動性が大きかったです。
食道裂孔部を覆う膜を剥がすと拡大した裂孔部が確認できました。

腹腔内から裂孔部にアプローチし、膜を除去したところ

拡大した裂孔部の腹側1/2程度を4-0PDSの連続縫合で縫縮しました。
このとき、縫縮しすぎて裂孔部を狭窄させないように注意します。

裂孔部を縫縮したところ

残った裂孔部で胃の滑脱を防ぐために裂孔部辺縁の横隔膜と胃の噴門部を単純結節縫合(4-0PDS)で縫着しました。

裂孔部の横隔膜と胃の噴門部を縫合したところ

同時実施の子宮卵巣摘出を行い、定法通りに閉腹しました。

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