アントン

アントンは声帯にポリープがあって、お話しするのが難しそうでした。だからお母さんが発声を練習したら良いのではないかと、レッスンを始めました。

アントンはよく、30分のレッスンの20分ほど床に寝て、親指を加えて、たまにグルグルすごいスピードで回っていました。ピアノのイスと、折り畳みイスをくっつけて、ベッドにして寝たこともありました。

ウトウトしているところで、私は”Twinkle Twinkle Little...” と、”Star”と言わずに終わるというむず痒い所で歌をストップするという作戦を試しました。アントンはレッスン中私の呼びかけに反応することは有りませんでしたが、何回か”twinkle twinkle little...”を続けた後に、彼が”star” と続けました。しめた!と思い、私が続けざまに”How I wonder what you...” すると彼は、”are”と言いました。

アントンの頭の中には、写真や、レコードのように記憶が記録されているような印象を受けました。新しい歌も、私が歌詞を絵本のようにアントンにお話しして、何週かレッスンを繰り返すと、彼は記憶していて、私がむず痒い所でストップすると、続きを言っていました。結果、アントンは新しい歌をたくさん覚えて、私たちはピアノで一緒に演奏しました。

コンサート、やりたかったね。いつか、やろうね。


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