【FF14】蒼天のイシュガルドメインクエスト完走の感想

 クリアしました。祝賀会のときは主にウルダハとイルベルドへの殺意に支配されてましたが、今は5巻くらい続いた小説を読み終えた時のような清々しさとちょっとした寂しさに包まれています。

 原作者として一刻も早くアニメ勇やめのBD特典原稿執筆に戻らないといけないのですが、鉄は熱いうちに打てと言いますし、ストーリーと各キャラへの感想だけザクッとココに残しておきたいと思います。


◆ストーリー序盤


 エオルゼア三国から亡命してくるところから開始。祝賀会で散々な目に遭い、「あいつら絶対に許さねえぞ……Fallout4のレイダーみたく死体を町の入口に吊るしてやるからな……」と荒みきった目で吹雪の中を歩くその姿はまさしく『落ち延びた』という表現が正しい。オルシュファン卿がいなかったらどうなっていたことか。

 そんな荒んだクオンタムを救ってくれたのは、オルシュファン卿とフォルタン伯爵だった。二人ともあまりにも澄んだ心を持っていてあっという間に浄化されてしまった。

 ストーリー序盤は『とりあえず息子二人の手伝いをしながらイシュガルドの文化に馴染んでね』って感じで、新ストーリーの導入としては丁度良いお手頃さ。メインだけ進めてもイシュガルドの文化には十分触れられるし、サブクエストをやると貴族と平民の格差とか騎士階級の仕組みについてより一層分かって味が深まるのもよかったですね。

・アイメリク
 新生の頃から分かっていたけど、めちゃくちゃいい人だしものすごい苦労人。ファイナルファンタジータクティクスの影響で『神殿騎士団』と聞くと反射的に身構えてしまうトラウマがあるのですが、アイメリクのおかげでだいぶ矯正された気がします。
 ただちょっと真っ直ぐすぎるところもあって、教皇との論争では見事にそこが露呈してしまった感じもある。これは中盤の項で。

・トールダンおじいちゃん

「なんか部下に手違いがあったみたい。イシュガルド助けてくれたのに決闘裁判とかやらせちゃってゴメンね」と開幕で謝ってくれるおじいちゃん。この時点で『多分ラスボスだろうけど、あからさまな悪ではなく信念のあるタイプの悪なんだろうな』という印象を受けた。だいたい当たっていた。
 あと『デモンズソウルの老王オーラントみたくムキムキになって剣振ってきそうだな』とも思った。だいたい当たっていた。

・エスティニアン

 ニャン。こいつ絶対カインだろ! と思ったしある程度カインだったけど、総じて良いキャラだった。プレイヤーに対してはもともとある程度一目置いていてくれて、最後の方になると『お前と一緒に戦えることを誇りに思う』とかデレデレになってくれるのも嬉しい。まあ最後ああなっちゃったけど(後述)、なんとかなるでしょ……。


◆ストーリー中盤


 ニーズヘッグの侵攻がはじまり、対話に向けての長い旅に出ることに。

・イゼル

 きみシヴァ編だけの登場じゃなかったんだ!? と一瞬思ったけど、そもそもイゼルは異端者の頭領だし、異端者は人間側からドラゴン側についたイシュガルドの民なのでイシュガルドメインクエに絡むのは当然のことだった。
 旅の最中でのイゼルはとにかくエスティニアンと仲が悪く、『エスティニアン貴様……!』みたいな発言を五回くらい見た気がする。まあ竜ぶっ殺すマンと絶対対話ガールでは当然のことですね。

・ドラゴンたち

 最初はイシュガルド側の事情しか見えておらず『とりあえずドラゴンは全員ブッ殺せばいいでしょ』と思っていたプレイヤーにドラゴン側の事情も伝える担当。長い昔話をしてくれるフレースヴェルグは当然として、不浄の三塔のNPCドラゴンもココに入る。

 すごいなあと思ったのは、不浄の三塔のドラゴン関連サブクエを一通り終えたあと。モーン大岩窟入り口の『ドラゴンの死体がある。既に力尽きているようだ……』みたいなメッセージ、サブクエストやる前と後で感じ方が全然違うんですよね。やる前は「そらドラゴンの死体くらいあるでしょ」という感想しか出てこないけど、やった後は「安らかに眠りな……」という感想。
 これは進撃の巨人とかと同じで、『双方に事情があり、双方とも生きている』『だからこの竜詩戦争はなんとかしないといけないんだよ』というメッセージを強く感じさせてくれた。

・教皇とアイメリク

 イシュガルドの民を救いたいというところでは共通してるけど手段に明確な違いがあった親子。
 最後までプレイしてわかったことだけど、教皇のプランは『千年戦争でパワーを増幅させまくったナイツオブラウンドパワーで脅威を退け人々を救う』というもので、既にプランの最終段階は秒読み段階だったんですね。そりゃ確かにアイメリクの『ニーズヘッグいなくなったしとりあえず対話しましょうよ!』というある種場当たり的な提案は『愚かな息子よ』と切り捨てられても仕方がないかもしれない。
 いや対話が愚かなわけではないけど、千年の戦争を完全に終結させるにはやっぱりそれ相応の下準備が必要だ。国を導き民を守る者として、何年も(下手すると教皇の若い頃や、何代も前の教皇から)下準備をしてきた円卓プランを捨てて不確実な対話を選ぶ、ということは出来なかったんだろう。


・オルシュファン
 オルシュファン……………………………………
 我が友よ…………………………

 ドラゴンヘッドに戻ると誰もいない執務机が悲しい。


◆ストーリー終盤


 アルフィノも言ってたけどまさか帝国軍が絡んでくるとは思わなかった。

・帝国軍

 魔大陸を狙ってチャリで来た。魔大陸に停泊してるアグリウス級クソデカ戦艦は完全にラピュタにやってきたゴリアテのそれ。
 結局お邪魔虫止まりであまり深くストーリーには絡んでこなかったけど、まあ蒼天騎士団はおじいちゃんと一緒に魔大陸行っちゃったしいい感じの悪役が必要だったんだろう。あるいは、この後の蒼天エピローグクエでまた出番があるのかもしれない。(というかアレキサンダー起こしたのって帝国軍?)(エンドロール直後に書いているので全くわかりません)

・イゼル
 イゼル……。
 オルシュファンもそうだけど、死んだのは悲しい。ただキャラクターの死には悲しい死と前向きな死があると僕は思っていて、イゼルの死は間違いなく後者だった。
 フレースヴェルグとの対話は決裂し、様々な犠牲を払って降ろしたシヴァはまがい物だった。
 それでも千年戦争を止めるための力を! と前を向いて戦い、道を切り開いて散る。イゼルというキャラのすべてはこの時のためにあったんだなあという味があって大変良い終わり方だったと思います。

 あと『フレースヴェルグとシヴァが一緒に戦う』というのもフレースヴェルグのエピソードを踏まえると凄く良い。お前のシヴァはまがい物、と言いつつも最後には手を貸してくれるんだから、フレースヴェルグがシヴァを、そしてシヴァを通じて人間をどれだけ愛していたかがよく分かる。それだけに人間の裏切りはやっぱり明確な悪だったのだ。
 イゼルが再起するまでにイゼルとフレースヴェルグで何かしらの対話があったはずなんだけど、そこをカットシーンとかで描かないのも良かった。これは彼らの物語であってプレイヤーの物語ではないのだ。首を突っ込まない方が美しい。

・魔大陸アジス・ラー
 BGMのイントロがFF6の魔大陸みたいでよかった(小並感)

 ヒキで見る魔大陸の全景はFF5のロンカ遺跡やFF11のトゥー・リア、アルダザール海底遺跡などを思い出させてくれて大変良いと思います。
 というかアルダザール、FF14にもあるらしいですね。早く行きたい。

・誘導システムちゃん

 かわいい。かわいすぎて最後はPortalのコンパニオンキューブみたいに惨死するんじゃないかと思ってたけどそうならなくてよかった。
 一番好きなのは『次のエリアはアジス・ラーいちばんの見所なので生存状態を維持することをおすすめします!』→『未だに生存状態を維持していることに驚きを隠せません!』のところ。アラグ帝国、人の命が軽すぎる。

・アシエンラハブレアとアシエンイゲオルム
 アシエンハマーンかと思ったら折笠愛さんなのでアシエンカトルだった。戦闘はシリアスだったんだけど倒すシーンがちょっとギャグっぽくて面白かったです。
『フフフやるなしかし我らにトドメをさす魔器は持っていまい!』
「あるぜ死にな!」
『ギャアーッ!』
『イゲオルムがやられたか……しかしもう手は残っていまい』
「円卓パワーがあるぞい!」
『ギャアーッ!』
 かわいそう

・トールダンおじいちゃんと蒼天騎士団
 改めて見ると、蒼天騎士団は蛮神ナイツオブラウンドのテンパードだったんですね。というか調べてみたら『本来の自我を残したままでゆるーくテンパードにしてあった』とか書いてあってなるほどなという感じ。

最終決戦直前でトールダンおじいちゃんの目的もついに判明。中盤で書いた通り、その狙いは『千年間の戦争で熟成された信仰で最強の騎士王になり、ドラゴンも蛮神もアシエンも全部ブッ殺してイシュガルドに永遠の平和をもたらす』というもの。すげえ力技だけど敵を全部ブッ殺せば間違いなくイシュガルドは平和になるんだから間違ってはいない方法だ。

と言いたいけど、問題があるとすればここ。

これはつまり『敵を全部ブッ殺したらすべての人を蛮神ナイツオブラウンドのテンパードにするよ』という宣言ですよね。
 蒼天騎士団のように限りなく自我を残したテンパードにするといっても、テンパードは蛮神の操り人形に過ぎない。永遠の神のもとで永遠の平和を享受しようね、というのは宗教国家らしいLAW思想でもあるし、こいつを肯定するのは蛮神を否定してきた『暁』として決して許せないことだなと感じさせてくれる。トールダンはあからさまな悪役ではないけれど、やっぱり対立するべき敵だったのだ。

 ついでに言うと、この方式だといつイシュガルドがエオルゼア三国に攻め込んでくるかもわからないんですよね。とりあえずはドラゴンやアシエンを『敵』と定めているけれど、『我が国の脅威だから自衛する』という名目で他国に攻撃を仕掛けるのは現実でもままある事ですし。そして侵略されればもれなくテンパードにされる……と考えると、新生の時に戦った帝国と特に変わりがないどころか、むしろそれより酷いかもしれない。
 こうして考えるとトールダンおじいちゃんの考え方はとにかくイシュガルド最優先で、それゆえに負けた(世界がそれを許さなかった)んだなあという感じがしますね。

 あとラストバトルで言うとアルティメットエンド後のトールダンの動きが好きです。ソロでじっくり観察したんですが、プレイヤーがアルティメットエンドを耐えたあとは攻撃が急に『大振り』だけになり、情けなくブンブン剣を振り回すだけになるんですね。
『千年の祈りが……千年の恨みが……』
『たかだか光の使徒に……』
『認めぬぞッ!』
『貴様は、いったい何者なのだ────』
 という台詞こそが、トールダンの無念のすべてを現していて凄く良かったです。

◆エンディング
 すべてが終わったわけではない。アレキサンダーは浮上したしニャンはどっか行っちゃったしドラゴンとの戦いも続いているけど、イシュガルドを巡る戦いは一段落ついた。
 そしてミドガルズオルムの背に乗って帰ってきてはじめて気がつくのだ。『イシュガルドはもう見知らぬ国ではなく、プレイヤーの帰るべき場所になっていた』と。

いや本当に良かったですね。『なんか閉鎖的でクソ寒い国』という印象だったイシュガルドが、ここまで暖かな場所になるとは思わなかった。
 あと心配していたイシュガルドの民度も割とそこまでひどくなくてよかったです。まあウルダハのアレコレを見た後だとよほどのことがない限り民度や陰謀に関して怒りを覚えることはないので安心ですね。

……えっ、次の紅蓮のリベレーターで出てくるドマってウルダハ並の民度なんですか?
 嫌だ! 助けてくれオルシュファン!



書いたひと:クオンタム
ラノベ作家みたいなことをしてる人です。8年ぶりにFF14に復帰しました。
デビュー作『勇者、辞めます』、2022年4月よりTVアニメ放送中。


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