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2022/10/2 0:02 大隅半島東方沖を震源とする地震について

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1.地震の概要

2022年10月2日0:02(日本時間)頃、大隅半島東方沖(北緯31°18.7',東経131°31.4')を震源とする最大震度5弱の強い地震が発生しました。この地震による津波はありませんでした。
震央は大隅半島東方沖で、震源の深さは29km、地震の規模はMj5.9と推定されています(気象庁暫定値)。最大震度5弱を観測したのは宮崎県日南市でした。

2.地震動について

防災科学技術研究所のK-net強震観測網によると、宮崎県宮崎市の宮崎観測点で震度4(計測震度4.4)、三成分合成最大加速度109.82galを観測しています。

画像2.1 宮崎 強震波形

気象庁の推計震度分布によると、日南市と串間市の一部では震度5弱相当の強い揺れがあったものと見られています。
防災科研のJ-RISQ地震速報によると、この地震で宮崎県串間市では震度5強相当の強い揺れがあったものと見られています。また、震度5弱相当の揺れがあったと見られるのは日南市と宮崎市です。震度5強相当の揺れに見舞われたと推定される人口は合わせて1000人未満程度、震度5弱相当の揺れに見舞われたと推定される人口は合わせて20000人程度です。※注1,2
(注1)これらの推計震度は必ずしも実際の震度と一致しないことに注意してください。
(注2)推定に用いられている震源要素等はすべて速報値段階のもの(気象庁速報値)です。

画像2.2 J-RISQ地震速報 推定震度頻度分布図
画像2.3 J-RISQ地震速報 行政区ごとの推定震度遭遇人口

気象庁によると、この地震で長周期地震動階級2を宮崎県都城市菖蒲原(宮崎県南部山沿い)で観測しています。この他、宮崎県南部平野部の宮崎市霧島・日南市油津・串間市奈留、宮崎県北部平野部の新富町上富田、宮崎県南部山沿いの小林市真方、鹿児島県薩摩地方の鹿児島空港で階級1を観測しています。

画像2.4 気象庁 長周期地震動に関する情報 階級1以上の地域
画像2.5 気象庁 長周期地震動階級の凡例

https://www.data.jma.go.jp/eew/data/ltpgm/20221002000240/station/data/acc.zip

3.地震のメカニズ厶

気象庁のCMT解(国内)(精査後)では、東南東-西北西方向に圧力軸を、南北または北北東-南南西方向に走向をもつ逆断層の型となっています(λ=103°[+13°]/69°[-21°]|p軸:107°(傾斜13°))。また、マグニチュードはMw5.8となっています。セントロイド深さは39kmです。

画像3.1 気象庁CMT解(精査後)

この地震はフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界か、またはその周辺で発生した地震です。南海トラフ巨大地震の想定震源域からはやや南にずれています。
なお、本記事では、今回の地震がプレート境界で発生したものと仮定します。
画像3.2では、今回の地震がスロー地震が比較的少なく、ファスト地震が比較的多発する地域で発生していることがわかります。実際、この地域では過去にもよく似た地震活動が見られました(過去の地震活動の項目にて取り上げます)。

画像3.2 南海トラフおよび日本海溝のプレート境界面で発生するスロー地震と普通の地震(ファスト地震)の分布-Wikipediaより引用

4.緊急地震速報

気象庁は0時02分40.0秒に地震波を検知し、地震波検知から4.5秒後の0時02分44.5秒に緊急地震速報(警報)を発表しています。緊急地震速報第一報提供の段階でS波が到達していた地点は宮崎県南部平野部の一部でした。

画像4.1 緊急地震速報(警報)第1報を発表した地域及び主要動到達までの時間

5.過去の地震活動(Mj≧5.5)

2018年6月12日の4時54分頃、今回の地震の震源付近(やや南、深さ28km)を震源とするMj5.5/Mw5.6の地震が発生しています。東西方向に圧力軸を、南北または北北東-南南西方向に走向をもつ逆断層の型となっています(λ=105°[+15°]/65°[-25°]|p軸:99°(傾斜14°))。セントロイド深さは36kmです。今回の地震と解析結果が似ていて、概ね同様の活動と考えています。

画像5.1 2018.6.12の地震 気象庁CMT解(気象庁地震月報カタログ編(CMT)2018年6月版より)

2005年5月31日の11時04分頃、今回の地震の震源付近(深さ29km)を震源とするMj5.8/Mw5.8の地震が発生しています。東南東-西北西方向に圧力軸を、南北または北北東-南南西方向に走向をもつ逆断層の型となっています(λ=99°[+9°]/77°[-13°]|p軸:105°(傾斜11°))。セントロイド深さは34kmです。今回の地震と解析結果が酷似していて、同様の活動と考えています。

画像5.2 2005.5.31の地震 気象庁CMT解(気象庁地震月報カタログ編(CMT)2005年版より)

1998年12月16日の9時18分頃、今回の地震の震源付近(深さ24km)を震源とするMj5.7/Mw5.7の地震が発生しています。東南東-西北西方向に圧力軸を、南北または北北東-南南西方向に走向をもつ逆断層の型となっています(λ=101°[+11°]/71°[-19°]|p軸:110°(傾斜16°))。セントロイド深さは24kmです。今回の地震と解析結果が酷似してて、同様の活動と考えています。

画像5.3 1998.12.16の地震 気象庁CMT解(気象庁地震月報カタログ編(CMT)1998年12月版より)


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