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2022/8/11 上川地方北部を震源とする地震について

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1.地震の概要

8月11日に最大震度4以上の地震は3回発生しました。
2022年8月11日0:35(日本時間)頃、上川地方北部(北緯44.852°,東経142.100°)を震源とする最大震度5弱の強い地震が発生しました。この地震による津波はありませんでした。
震央は上川地方北部で、震源の深さは約2km、地震の規模はMj5.2と推定されています(気象庁暫定値)。最大震度5弱を観測したのは上川地方中川町でした。

2022年8月11日0:53(日本時間)頃、上川地方北部(北緯44.855°,東経142.103°)を震源とする最大震度5強の強い地震が発生しました。この地震による津波はありませんでした。
震央は上川地方北部で、震源の深さは約5km、地震の規模はMj5.4と推定されています(気象庁暫定値)。最大震度5強を観測したのは上川地方中川町でした。

2022年8月11日2:14(日本時間)頃、上川地方北部(北緯44.866°,東経142.120°)を震源とする最大震度4のやや強い地震が発生しました。この地震による津波はありませんでした。
震央は上川地方北部で、震源の深さは6km、地震の規模はMj4.6と推定されています(気象庁暫定値)。最大震度4を観測したのは上川地方中川町でした。

画像1.1 NHK地震情報1(気象庁暫定値)
画像1.2 NHK地震情報2(気象庁暫定値)
画像1.3 NHK地震情報3(気象庁速報値) 

8/11の気象庁震源リスト →https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/daily_map/20220811.html

2.強震動及び推計震度

防災科学技術研究所のK-net強震観測網によると、0:53の地震により北海道中川町の中川観測点で震度5強(計測震度5.1)、三成分合成最大加速度416.60galを観測しています。

画像2.1 K-net中川 強震波形

気象庁の推計震度分布によると、0:35の地震で中川町の一部では震度5弱相当の強い揺れがあったものと見られています。0:53の地震では、中川町の一部で震度5強、中川町および中川町と天塩町の町境付近では震度5弱相当の強い揺れがあったものと見られます。
防災科研のJ-RISQ地震速報によると、0:53の地震で中川町と幌延町では震度5強相当の強い揺れがあったものと見られています。震度5強相当の揺れに見舞われたと推定される人口は合わせて1000人程度です。
※ただし、これらの推計震度分布は必ずしも実際の震度と一致しないことに注意して下さい。

画像2.2 気象庁推計震度分布(0:53の地震)
※ただし震源要素が速報値段階のもの
画像2.3 J-RISQ地震速報 行政区ごとの震度遭遇人口
※ただし震源要素が速報値段階のもの

3.地震のメカニズム

<(3.1)0:35の地震の発震機構解>
気象庁のCMT解(国内/速報値)では、南北方向に走向を、東西方向に圧力軸をもつ逆断層の型となっています(λ=85°[純粋な逆断層-5°]/94°[純粋な逆断層+4°]|p軸:266°(傾斜10°))。マグニチュードはMj5.1/Mw4.9です。

画像3.1.1 気象庁国内CMT解(速報値)

・初動解
気象庁の初動解(精査後)では、南北方向あるいは北北東―南南西方向に走向を、東西方向に圧力軸をもつ逆断層の型となっています(λ=73°[純粋な逆断層-17°]/105°[純粋な逆断層+15°]|p軸:284°(傾斜3°))。

画像3.1.2 0:35の地震の気象庁初動解

<(3.2)0:53の地震の発震機構解>

気象庁のCMT解(国内/速報値)では、南北方向に走向を、東西方向に圧力軸をもつ左横ずれ逆断層、あるいは逆断層の型となっています。(λ=116°[純粋な逆断層+26°]/76°[純粋な逆断層-14°]|p軸:269°(傾斜18°))。マグニチュードはMj5.4/Mw5.2です。

画像3.2.1 0:53の地震の気象庁CMT解(国内速報値)


・初動解
気象庁の初動解(精査後)では、南北方向あるいは北北西―南南東方向に走向を、東西方向に圧力軸をもつ逆断層の型となっています(λ=67°[純粋な逆断層-23°]/105°[純粋な逆断層+15°]|p軸:82°(傾斜13°))。

画像3.2.2 0:53の地震の気象庁初動解

<(3.3)2:14の地震の発震機構解>

気象庁の国内CMT解(精査後)では、北北西―南南東あるいは北北東―南南西方向に走向を、東西方向に圧力軸をもつ、横ずれ成分(左)を含んだ逆断層あるいは逆断層成分を含んだ右横ずれ断層の型となっています。(λ=64°[純粋な逆断層-26°]/142°[純粋な逆断層+52°]|p軸:83°(傾斜22°))。マグニチュードはMj4.6/Mw4.5です。

画像3.3 気象庁国内CMT解(精査後)

この地震は北米プレート内部の内陸地殻内で発生しています。この地震の震央付近には東問寒別セグメントが存在します。走向は南北方向で西側隆起の逆断層であり、今回の地震の発震機構とも概ね一致しますが、このセグメントが活動した地震かは不明です。
(産業技術総合研究所活断層データベース https://gbank.gsj.jp/activefault/cgi/search_result_kis による)

4.長周期地震動

気象庁によると、これらの地震では長周期地震動階級1以上は観測されていません。

5.緊急地震速報

<(5.1)0:35の地震>
気象庁は0時35分29.8秒に地震波を検知し、地震波検知から2.2秒後の0時35分32.0秒に緊急地震速報(予報)を発表しています。緊急地震速報第一報提供の段階でS波が到達していた地点は宗谷地方、上北地方、留萌地方の一部でした。一般向け緊急地震速報(地震動警報/特別警報)は発表されていません。  

画像5.1 緊急地震速報第1報提供から主要動到達までの時間及び推計震度分布図(気象庁)

<(5.2)0:53の地震>
気象庁は0時53分10.0秒に地震波を検知し、地震波検知から2.8秒後の0時53分12.8秒に緊急地震速報(予報)を発表しています。地震波検知から14.7秒後の0時53分24.7秒には宗谷地方北部、宗谷地方南部、上川地方北部、留萌地方中北部を対象として一般向け緊急地震速報(地震動警報)を発表しています。緊急地震速報第一報提供の段階でS波が到達していた地点は宗谷地方、上北地方、留萌地方の一部でした。

画像5.2 緊急地震速報(警報)第1報を発表した地域及び主要動到達までの時間(気象庁)

<(5.3)2:14の地震>

気象庁は2時15分6.8秒に地震波を検知し、地震波検知から2.2秒後の2時15分9.0秒に緊急地震速報(予報)を発表しています。緊急地震速報第一報提供の段階でS波が到達していた地点は宗谷地方、上北地方、留萌地方の一部でした。一般向け緊急地震速報(地震動警報/特別警報)は発表されていません。

画像5.3 緊急地震速報第1報提供から主要動到達までの時間及び推計震度分布図(気象庁)

6.過去の地震活動

この地域では今年6月中旬頃から度々小規模な地震が発生しています。これまでに顕著な地震(地震の規模、あるいは被害の規模について)は確認出来ませんでした。
詳細は不明ですが、地震本部サイトによると、1968年に今回と同様の地域でM4.0の被害地震が発生しているようです(気象庁震度データベースには掲載されていません)。

北海道地方の地震活動の特徴 北海道中部(地震本部 )

7.被害の状況

中川町災害対策本部→「地震によって住宅の水道管が破損したという情報が数件」
11日午前11時時点で人的被害の報告なし。最大4世帯9人が避難するも翌朝までに帰宅。
中川町歌内の道道541号線では、道路脇が30メートルにわたって陥没。
※今後情報が更新される可能性あり。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220811/k10013764931000.html?s=09

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