今年の新聞歌壇まとめ
全採用歌20首。
毎日新聞へは、2月1日投稿開始 4選者11首掲載。
各新聞採用歌、選者ごとに上から掲載順です^^
☆毎日歌壇
〇伊藤一彦さん・選
のびのびと四方に手足伸ばしたい三角定規だっておそらく
草笛を吹いてた君のくちびるが青くさかったあの夏のこと
たましいは吊革程度の輪のなかにすっぽり入る大きさである
膝を折る祈りではない自販機のお釣りの穴が低すぎるから
〇米川千嘉子さん・選
負けてやる入学式の緊張でほころびそうな小さなチョキに
風なのであなたの近くで吹いたけど滝の裏側より怖かった
キッチンにある諸道具を見ていると誰かに似てくることがあります
〇篠弘さん・選(※全三首、篠さんによる添削掲載)
※屋台骨ささうる人の割合が八割占むるや契約社員
元歌:屋台骨ささえる人の割合が八割契約社員の我社
※定年後スーパーマリオでなくなった男が池の亀を見ている
元歌:定年後スーパーマリオじゃなくなった男が池の亀を見ている
※(添削)特選:ことのほか庶民に見ゆるわが妻が出口調査に捕まっている
元歌:ことのほか庶民に見えるわが妻が出口調査に捕まっている
〇加藤治郎さん・選
足タグを取り付けられた鳥を詠むマイナンバーを持ってる僕が
☆日経歌壇
日本経済新聞へは4月6日から穂村さんへ投稿開始、6月から三枝さんへも投稿開始。2選者6首掲載
〇穂村弘さん・選
五円玉五十二円で売られてた転がった距離ギネス記録の
祖母の名が書かれた歩行補助杖を母が使って歩むあぜ道
何をしていたと聞かれてあの夏は透明ランナー二塁ベースで
柴犬はたぶん僕よりネクタイが似合うぶんだけ大人なんだよ
〇三枝昂之さん・選
時間なのに来ないねバスは出くわしたキツネの嫁入りでも祝おうか
繋がっているはずなのに僕たちは海をひとつと数えはしない
☆読売歌壇
読売新聞へは8月28日俵さん、栗木さんへ投稿開始。9月14日より岡野さん、小池さんへも投稿開始。1選者3首掲載
〇俵万智さん・選
夏はゆく少女の乗った自転車の前籠にある凹みになって
雨でしたひとつひとつもそれぞれもあなたに濡れる意気地のなさも
『鳥になる』本棚にある背表紙の手垢のついた青がまぶしい
各選者様、厚く御礼申し上げます。来年もよろしくお願いいたします。
雑感:採っていただける方は、不思議と掲載紙をまたいでも平均化してきますね。並べて見ると「大人しいなぁ」と言うのが、詠んだ本人の感想。でも、無難な所を詠めるようになって来たのは投稿のおかげですね。来年は目標、今年の2倍掲載!
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