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ちいさな惑星を、つくる。
ここ数年間、ずっと考え続けた。
自分の好きなことって何なのか。
自分のやりたいことって何なのか。
自分は、何をして生きていきたいのか。
そして、最近ふと気がついた。わたしは「生活」をして生きていきたい。ただ「生活を送る」ということが、何よりも好きだということ。
数ヶ月前、生まれ育った福岡を離れて上京した。新たな土地で新社会人としての幕開けとともに久しぶりのひとり暮らしが始まった。これまでとは全然違って、本当に1人の力で生活する自立のとき。
今のところ、すこぶる順調。
朝は、起きたらまず最初にカーテンを開けるとか、豆から挽いて珈琲を淹れるとか、卵焼きを焼いて前日の夜ご飯の残りと一緒にお弁当に詰めるとか、そのために家を出る2時間以上前には起きるとか。夜は、和ろうそくに火をつけるとか、日記を書くとか、お湯を沸かしてほうじ茶を淹れるとか。
誰のためでもない、何のためでもない、ただ自分が生活をする、というだけのことがものすごく楽しい。
あとは、味噌は米派で白派とか、お米はお鍋で炊く派とか、お気に入りの器は使ったらすぐに洗って拭くだとか。
そういう小さなこだわりを、わたしだけの小さな世界の中で積み重ねていくことが、ものすごく幸せ。
ずっと何者かになりたかったし、何かを成し遂げたかった。
明確にこの仕事をしたいとかこの夢に向かって頑張りたいとか、そういう何かがないといけないと思っていた。学生の頃って、自分に与えられた役割は特にない。だからこそ「なにか」に向かって頑張る期間なんだという感覚がどうしてもあった。「なにか」のための勉強とか活動とか就活とか。でも社会人になって思うことは、自分なんて本当に本当に小さなひとりでしかないということ。ただ目の前にある小さな役割だけを全うして、手の届く範囲の人だけを大切にして、あとは自分が心地よいと感じる暮らしを過ごすだけだな、ということ。暮らしだけは、誰にも邪魔されないから。
社会というものは大きすぎる未知の世界で、社会に出るのがこわいとずっと思っていたけれど、案外社会に出てしまった方が生きやすいのかもしれない、という感覚もある。あまりに大きすぎる世界の中にいる方が、手の届く小さな世界だけに集中できるというか。学生の頃は、自分の頑張り次第で色んなものに手が届くんじゃないか?手を届かせないとダメなんじゃないか?という焦りと不安がどうしてもあった。あの頃迷って悩んで苦しんだから今この仕事に出会えてるって考えたらそれはすごくよかったんだけど。
ただ自分の力で、自分のペースで、生活を続けるということが、今のいちばんの目標なのかもしれない。最近、自分の部屋に干されている洗濯物を見ると、なんだか心が落ち着く。ちゃんと生活をしているなと、目で見て感じられる。そんなことだけで、十分だなと思える。
とにかく、今は何にも焦らず、ただこの自分だけの小さな惑星で繰り広げられるこの生活を、自分自身で守って積み重ねること、これだけが目標かなと思います。
そしてたまに、この小さな世界を彩ってくれるモノたちを探して見つけて迎え入れながら。来月のお花は何にしようかな、次はパスタ皿を探そうかな。
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