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休学日記。#9


5月27日。57日目。

知恵が増えた1日だった。香りのことを植物療法士の方から教えてもらったり、山でクロモジを採集したり山椒を探したり。この日記を書き始めてから、生きるって“積み重ね”だなあということをよく思い知らされる。
全てを今その瞬間に意味付けする必要はなくて、その時は無駄だと思っていることが後々役に立つことなんて私の生きた人生だけでも数え切れないほどある。それが別に自分の役に立たなくったっていつか誰かの役に立つかもしれないし。だから教えてもらったこととか学んだこととか感じたこととかを書き留めるという癖は自分にとってすごく価値があると思うようになった。無駄だと思えばなんでも無駄になり得る世の中だからこそ、その無駄を愛したいと思う。愛するものは多い方が幸せだと思うから。

本屋さんに寄った。ある帯を見て感じたことがある。語る対象とは似ても似つかない言葉でその対象を例えるような表現って素敵だなあと思った。「〇〇さんの言葉は、あったかいご飯みたいだ」という帯を見て感じた。言葉を読んだ時の感情とあったかいご飯を食べた時の感情を結びつけられる脳の持ち主がすごいと思った。誰もが感じたことのあるであろう2つの単純そうな感情を結びつけるだけで唯一無二の表現が誕生する感じがとても好きだと思った。心の機微に敏感な人になりたいし、それを言葉で上手に表現できる人になりたい。まだまだ修行だなあ。

hitotoseの住人のひとり、ひかりさんが突然誘ってくれて2人で夜ご飯を食べに行った。今まで2ヶ月一緒に住んでたのになかなかじっくりは話せていなかったなあって、2人で喋ってみてやっと気付いた。今日は2時間以上じっくりゆっくりいっぱい喋った。めっちゃ笑った、めっちゃ楽しかった。誘ってくれて本当に感謝。自分の考えてることにも気づかせてもらえた。6月の雑貨屋さん巡りデートも楽しみだなあ。


5月28日。58日目。

夢ができた。気がする。今までよりも少しだけはっきりと。久しぶりに「やりたい!」という感情に出会えた。心が躍った。前からなんとなくいいなあと思っていたけれど、あるドラマを見ていたら突然パッッて明快になった。その夢に方向を合わせて進んでみたいと思った。この「進んでみたいなあ」と思える方向が現時点で2つくらい見えてきているから、この2ヶ月はとても実りのある2ヶ月だったのかもしれない。いや、確実にそうだった。やっぱり、自分の目で見て耳で聞いて経験してみる、というのは自分自身を一気に前へ進めてくれるみたいだ。

この前南阿蘇で買った木のピアスを付けた。気分上々。自分の耳元で木が可愛く揺れている。気分が上がらないわけがない。髪をバッサリ切ってから2ヶ月間一度も髪の毛を結んでいなかったけど、ピアスを見せびらかすためだけに髪を結んだ。いい感じ。バイトも頑張れる。単純。

1週間ぶりにホタルを観に行った。全盛期だった。めっっっっっっちゃ綺麗だった。やっっっっっばかった。すごくすごくすごく感動した。天然のイルミネーションだった。言葉を失った。いや、失った、という表現はとても上手くできているけど、実際はあの感動を伝えられる言葉を自分の中に持ち合わせていないだけだった。最近リリースされたGReeeeNの新曲に「言葉はいつでも心を超えない」っていう歌詞があるんだけど、この歌詞の意味がわかった気がした。この感動を表現できる言葉があればいいのに、と思ったけれど、どう頑張っても言葉にできない気もした。できないから良いような気もした。伝えられないから次は伝えたい相手と実際に一緒に見たいと思えるし、実際に一緒に見た人の心の中にしかない感動が存在する尊さもあるなと思った。なんか文章がまわりくどくなったな。


5月29日。59日目。

各種SNSのトプ画を変えたい時期がやってきた。季節が変わると変えたくなる症候群。自分のトプ画の季節感をやけに気にしてしまう。今となっては1季節1枚くらい撮ってもらったお気に入りの写真があるから毎年同じ写真に頼ったりもしながら、なんとかトプ画の中でも季節を楽しめている。こういう小さな楽しみもずっと大切にしていきたいなあとか思ってみたりしている。

今日は、昨日突然降ってきた夢のことを考えてはずっとワクワクしていた。叶うかもわからないし現実的ではない部分もたくさんあるんだろうけど、頭の中はわたしが自由に使って良いんだから思う存分自由に想像を楽しんだ。少しずつ現実に近づける世界も想像しつつ。そして帰ってきてそれを話したり調べたりした。なんか人生初めてレベルで心が躍っている気がする。人生ってどんなタイミングでターニングポイントに出会うのか本当にわからないもんだなあと思った。と、語ってみたは良いけど、休学が終わる頃には違う夢に出会って新たに心を躍らせている自分がいるような気もしている。でもそれはそれで楽しそうだから何でも良しとしよう。

明日はお休みだから朝からまた小さな映画館に行く。ずっと観たくて楽しみにしていた映画。次こそ高校生がいても負けずにイモらずに店員さんとお喋りするのが目標。


5月30日。60日目。

7時半に起きた。休みの日でも当たり前のように起きれるようになった。そして7時半でも「寝すぎたかな?」と思えるようになった。大革命。そして楽しみにしていた映画を見に行った。地元の隣の町が舞台の映画。映画が始まって最初に思ったことは、方言が自分の地元とすごく似ていて懐かしいなあということ。これ違う地域の人が見たらちょこちょこ伝わらんのではないかというくらいにずぶずぶの方言だった。でも懐かしくて私は心地よかった。主人公の悩み苦しんでいる姿も自分と重なる部分があった。自分を客観的に見れた感覚だった。初めて人生の岐路に立たされた瞬間、無限の選択肢があることが逆に苦しかったり、誰かに憧れて自分が嫌いになったり、でもその相手が実は自分に憧れていたり。人間らしさがリアルだった。幸せは近くに散らばっていることを改めて教えてくれた。

昼過ぎに帰ってから梅を収穫した。「梅しごと」っていう言葉がなんか好きだなあ〜と思った。ひとつの食べ物を収穫して食べられるように手間をかけるその一連の作業を「梅しごと」という単語で表現するのが良いなあと思った。中2のときの農泊ぶりに梅ちぎりをした。楽しかった。1年に一度、この季節にしか収穫できない梅を、たくさん収穫して梅酒にしたり梅シロップにしたり梅干しにしたりするのはとても満たされる作業だった。まだ梅洗っただけだけど。

南阿蘇からこーたろーさんが来たから、またホタルを観に行った。前回よりもまたさらに増えていて感動した。何度見ても、車を降りた瞬間に「うわぁぁぁああ」という声が出てしまう。これはもはや脊髄反射だと思う。そういえば前にゆいなって脊髄反射でツッコミよるやろって言われたことがある。あの言葉かなり嬉しかったなあ。大人だから「いやそんなことないし」って言っておいたけど。でもあれ褒め言葉だったのか今考えたら怪しいな。嬉しかったから勝手に褒め言葉に認定しちゃってたけど。まあいっか。


5月31日。61日目。

アロマの会社で、アロマ成分についての資料をたくさん見せてもらった。大量の論文やネットページの印刷を見て、なんかひさしぶりの感覚があった。ワクワクした。どんどん探究心がくすぐられて止まらなくなって、やっぱり自分は化学と生物が好きなんだなあと思った。
こんなの集中して読めるんだねって社長さんと奥様に驚かれて、自分の中ではなんとも思っていなかった「論文を読むのが好き」というのも武器になり得るのだと気付かせてもらった。

その後は山に、山椒の採集に行った。お昼前に出発したのでお弁当を持って行くことになり「ピクニックみたいになってきたね♪」と社長の奥様。可愛らしくて。社長夫妻に連れられていろんな森をみて、散策して、山椒を採って、お弁当を食べて戻った。今日入った森はすごく豊かで心地よかった。ヤマアジサイが可愛くて、川が綺麗だった。

福岡に戻ってから研究室の同期3人が家に来た。福岡の家帰る度に誰か呼んでんじゃん、笑っちゃう。会うの3ヶ月ぶりだしみんなは毎日顔合わせてるからめっちゃ仲深まってるだろうし話合わせられなかったらどうしよう...とか余計なことモジモジ考えていた私だったけど、会って10秒後にはもうそんな心配吹っ飛んでいた。相変わらず愉快でおもしろくて個性たっぷりな3人組だった。復学するの気が乗らないなあ〜って思うこともたまにあるけれど、この3人がいるって考えたらそこに通って一緒に研究したいとも思える。ありがたし同期メンバー。自分の通う先に「誰がいるか」というのは本当に大切すぎるなあとひしひしと感じた。


6月1日。62日目。

昨日の夜ノリノリでカルボナーラを作ろうと思って卵を買ったのに、ごま豆乳鍋で大満足してしまって作らなかった。お腹が空いている時の買い物ほど怖いものはない。自分たちの胃袋が無限だと信じて疑っていなかった。というわけで、朝起きてから卵4つ分の大きめ卵焼きを作った。味も火加減も朝早起きだったことも褒められたので自己肯定感アップ。

大好きな雑貨のお店に行った。その系列店も巡った。暮らしを豊かにしてくれるものって、自分の心も豊かにしてくれるんだよなあと思った。雑貨屋さんに入った瞬間の、静かに穏やかにでも確実に高まるあのワクワク感は他のどこでも感じられない特別な感覚だなあと。そしてこの感覚やっぱり好きだなあと。好きが多いって楽しい。うれしい。しあわせ。

歯医者の用事を2つ終わらせて、小倉に帰った。そしてメガネを新調した。高校2年生のときに作ったメガネからやっと進化した。なんか自分も進化した気分。いや、たぶん本当に進化した。パワーアップした。度の合ったメガネで外に出られるようになったから。これは革命。


6月2日。63日目。

1日中半袖だけで過ごした。個人的に、冬の服より夏の服の方が好き。久しぶりに夏服らしい夏服を着た。デコルテラインってのを出すとやっぱり少しは痩せてみえるし多少は大人っぽく見えるしウフフっていう気分になれた。夏が好きだなあと思った。楽しみだなあと思った。そして暑すぎる不快感もなく夏服のウキウキ感が味わえる今の時期はいちばん幸せだなあとも思った。今年はワンピースが個人的ブームなので、春のワンピースに続き夏もおニューのワンピースを探そう。最近自分にご褒美買いすぎてる気もするけど。

午後はバイトをして、3日ぶりにhototoseに帰った。住人が1人増えていた。また賑やかになった。帰ったら男性陣が張り切ってすごく手の込んだディナーを作ってくれていた。今日はひかりさんとまゆさんのお誕生日会。男性陣は3人ともちゃんとシャツを着てエプロンも付けていて、居間のテーブルの上にはお花とキャンドルもあって、家の中にお洒落なジャズも流れていた。本格的なレストランに行ったことないけど、きっとこれはそういうところの雰囲気だろうなと思った。お洒落空間だった。ノリノリでシェフになりきってる男性陣がおもしろかった。なりきっているの面白がっていたけど、料理の腕前はやっぱりプロレベルで、本当に本当に美味しかった。美味しすぎた。フルコースで用意してくれていて贅沢すぎた。私の誕生日は4ヶ月後なのに何故かおもてなししてもらう側になってしまった。すみませんありがとう。いくつになっても誕生日を盛大にお祝いしたり、高級レストランごっこみたいなことをして爆笑したり、そういう歳の重ね方って良いなあと思った。

実家から持って帰ってきたケーキもみんなで食べた。めちゃめちゃ美味しいって言ってくれて誇らしくなった。お父さんのケーキは、私が世界で一番大好きなケーキ。きっと一生これは変わることのない事実。好きなものを、好きな人たちが、好きだと言ってくれるこの瞬間は、もしかしたら奇跡のようなことなのかもしれないと思った。噛み締めた。



というわけで、9週間が終わった。充実している気がする。とてもいい感じな気はする。感覚の話だけど、「なんかいい感じ」っていう感覚。とても幸せ。

次の1週間の目標は、

・エッセイ読破する。(3週目突入)
・インテリア雑貨の企業を調べる。
・蓄積してきた「知りたい」を消化する。

以上3点セットでいきます。ではまた来週。


読んでくれてありがとございました!!🌿


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