路面電車と自動運転バス、ついでにキックボード

人口が減少する多くの地域では公共交通網が今の形では成り立たないのは以前から言われてる。過疎地に電車やバスを走らせ続けることは費用面でも限界であることに加え、配置できる人員も今や十分にない。
気づいたらもう10年前になるが、スマートシティ案件に関わっていた頃にリサーチして得た知識からは、どの地域も街づくりはやがて、富山市のような拠点集中型のコンパクトなものになると推測していた。
富山市は公共交通としての路面電車を軸に、串(路線)と団子(駅周辺地域)の都市構造を作り、団子の地域に住居や必要な設備を集約していくことで利便性を確保している。もちろん団子の地域に人をいかに移住させるかは課題ではあるけれど。詳細は以下の記事が良さげ。

で、広島が自動運転バスとの並行運用は試していたものの実証実験までのようだし、最近は宇都宮に次世代型路面電車(LRT)も開通したし、やはり路面電車がメインかなぁ

などと思っていたのだけど、最近は自動運転バスが実証実験を超えて通年運行するニュースも出てきていて、ちょっと驚いた。
まぁ確かに、路面電車だってワンマン運転したり省力化・省人化もできるけど、自動運転バスの方が低コストで導入・運用できそうだし、財政規模も実際の規模も小さい街にとっては止むを得ないのかも。でも路線の上を走る路面電車より交通リスクある自動運転バスを、小さい街ほど保守的だと思うのに、よく導入したなーという驚き。

昨年末に羽田イノベーションシティ(HICity)のイベントで自動運転バスに試乗して、確かに利用シーンによっては使えるけど、課題もあるし、まだ限定的かなぁという印象だった。記事に詳細は書かれてないのでわからないのだけど、どうやって運用してるのかは関心がある。

羽田イノベーションシティ、イベントの時に撮ったのだが。。。

HICityで試乗した自動運転バスは2種類、10人も乗れないだろう小型と、一般に想定されるサイズ。どちらも(もちろん、そこに至るまでのチューニングも大変だったとは思うけど)ただ道を走る分には問題なくて、ただ外部センサーの感度と人手を関与させる程度とのトレードオフがあるようだった。

いつもの風景とイベントでたまに見かける機械

人とか障害物を察知して止まったり回避したりしてくれることはバスの運転の自動化や無人化に向けて大事なことで、交差点の横断歩道で人がいるときにセンサーが反応してバスが止まるのはいいのだが、人が善意で「先にどうぞ」とバスに道を譲ろうとしても、そこに人がいてセンサーが反応し続けている限りバスは動けないのだ。他には、警備員さんとか道を横断する気はなくとも存在したり何らか動きを見せたりするとセンサーが反応して(ry

小型サイズ

もちろん人に善意を捨てろとは言えないし、文化やマナーといった無形のものを変えるのには時間がかかるし。
バスに運転手なり人が乗ってたら会釈程度のコミュニケーションですぐに解決できることでも、センシング技術や画像認識・物体検出関連のAIが今後進化しても認識したの人の善意/悪意まで判別できるとは思えないので、実際の運用を考えると、まぁまぁ問題になること。

通常?サイズ

僕が乗った時は小型の方がより特徴的だったけど、きっと通常サイズのバスでも同じことは起きるはず。
ただセンサーを弱めることは対策の1つにはなりにくいだろう、自動運転バスの反対意見の大半はリスクを検知できない場合の危険性に由来する訳で、事故になりそうな事象の検知力を弱めてでもトータルで合理的に、、、などという議論には絶対ならない分野だもの。

通常?サイズのバス内、センシングしてる画面とか

もう1つの解決策というか、案内係の人と話をして理解したのは、自動運転バスに実際に担当係が乗ること。写真に残ってなかったけど小型バスの方はx-boxのコントローラーみたいなもので簡単な操作はできるようになっていた。大きいサイズのバスはきっちり人が乗ってた。
現行制度でバスを運転するのに必要な大型免許を持った人材はいなくても、センサーが過剰反応した際にゲームのコントローラーでできる程度の簡単な対応をしてくれるバイトかボランティアが常に乗車してれば、十分に運用できる。自動運転バスを担当係もなしに走らせられるとしたら、人が全くいない街しかないが、そんな街ならバスを走らせる需要もない。バスを走らせる需要があって、でも維持コストを抑えたいとなった時に自動運転バス+担当係の組み合わせが現実的ということか。

キックボードも展示されてた

同じイベントに出展していたのが電動キックボード、規制も緩和されてだいぶ普段使いできるようになってきたようだ。こっちがあるなら自動運転バス+担当係よりも低価格でいいじゃん、とは思った。
もちろん電動キックボードは慣れないと乗るの怖いだろうし、怖い乗り方をする人もいるので、まだ賛否はあるだろうけど。それなら電動自転車でもいい、そうした機器をシェアリングする仕組みの導入もあるよなぁ。

都心ではluupとか出てきてるし、料金とか使われ方とかがこなれてきたり、地方の小さな街でも使われるようになったら、これもまた1つの流れになるんだろうなぁ。

電車みたいな公共交通機関と徒歩で全ての移動がなんとかなる都市部にいると普段なかなか気にしないけど、次世代交通インフラの要素技術は、その昔に調べていたころより格段に進歩していた。
ある日ふと気づくと昔とは違う姿になっている、ということもありそう。


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