序章:11本の未現像フィルム
このフィルムを私が撮影したのはいつ頃なのだろうか。記憶の紐を手繰ってもはっきりとは思い出せない。引っ越しの度に捨てるでもなく荷物の隅にあり続けたこれらのフィルムたち。撮影時の記録もなく発見される度に同じ袋にまとめられ混ざり合ったフィルムには、それらの中に閉じ込められた景色以外手掛かりは無い。
喉に刺さった小骨というほど気にならなかったからか、重苦しい記憶が邪魔するのか、おそらく15年近くそのままそっととってあったこれらのフィルムをいよいよ開けようと決めた。
現像とこれから