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選挙に行かなかった

20代のころは、あんまり選挙に行かなかった。

政治科専攻だった彼氏ができた時に、2回行ったくらいで。

25歳の時、外国の政治家のドキュメンタリー映画などを見ては、「政治は世の中を変えるのか!」と衝撃を受け、感動して、担当していた雑誌に映画紹介の記事がてら思いを乗っけたり。
それでも選挙には行かなかった。

今は、行っている。

引っ越した先の、選挙会場とそこまでの道が好きで、行く。

選挙会場は、廃校になった小学校。

選挙会場への道は、都心に残る細い道。
鬱蒼とした公園を抜けて、じめっとした地面を歩く。

投票前は行くのが面倒だ。政治について考えると空虚な気持ちになるし。でも、家を出たら引き寄せられるように辿り着く。
役目を終えたはずの体育館。明るくて静かな声で労われ、清潔な学校の廊下を土足で帰る。暗くて細くて急な坂道を下る。

快適になっていく生活のなかで、こんなにもどよーんとした所にいてよいのかしらと思う。同時に、なぜわたしの生活はあんなに小ぎれいになってしまったのかしらと思う。


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