見出し画像

38年間、あなたは眠っていた

<ショートムービー3.3/160字散文>

まるでアフタヌーンティーをたしなむように、初老の女性はカフェラテの上面の
クリームをスプーンで口に運んだ

そして、アイラッシュを整えるように、ゆっくり慎重な手つきで、トートバッグからニュースペーパーを取り出した

聖書を読み返す神父のように、ときに、遠い先に答えがあるように目線を上げた

38年目のデジャブにいる恍惚の人を、私はじっと見ていた


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?