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第24章 夕暮れのバグ

曇り空。夕暮れの公園のベンチ。
おれは自問自答した。
「激ムズだ。よく考えてみれば、『面白い』をテーマに物語書くなんて、1番難しいわ。
苦しい。本末転倒だっけや。ヤバい。ムリかも」

オリ・ハルコンさんが耳元で囁く。
「あなたがそんなことでどうするの?
あなたがやめたら、わたしたちはどうなるの?
ワニ味噌だれ鬼おんシューティングにハマってるトクちゃんや、序盤で撃たれて死んだトランポリン北澤の気持ち考えてみてよ」

「トクちゃん? トクちゃんはおれ知らない人だわ。
いつ現れて、いつの間に居るんだ?」

それはそうと、おれは考え込む。

うーん。。。。。

「ウツムキくん、何か良い方法、アイディアはないですか?」

ウツムキくんは言う。
「ぼくはあなたが生み出したキャラクターなので、
あなたが何か言えと言えば、その通りに言いますし、
何も言うなと言うなら、何も言わないですし、
そのどちらでもない可能性もありますし」

「だから今こそ、そのどちらでもない可能性をくれよ」

それこそ、トクちゃんが言った。
「ここらで一発、起死回生のバケモンみたいなキャラクターを投じてみては?」

「バケモンみたいな?」

「わかんないけど、バケモン級にキャラの強い、すべて活かせる、すべて生き返るような。
いや、全然わかんないけど」

おれはトクちゃんがそう言うなら、と
いつの間にか、トクちゃんの存在を受け入れつつ、
うーーーーん。。。と。
夕暮れ。。。。。

「ウワムキくんっつーのは? ウツムキくんの逆で。
多少強引だが、ちょっとこれでやってみるか」

早速ウワムキくんが喋りだす。
「ぼくは天真爛漫で、何事も、ポジティブに捉え、前向きに取り組む男です。落ち込む事もありますが、それも、前に進むためには仕方がない事だと、乗り越えていくキャラクターです」

「キャラクターって言っちゃった」

さらにウワムキくんは喋り続ける。
「本来、ぼくみたいなタイプは序盤で撃たれて死んでるはずです。
なぜぼくが今も撃たれずに生き残ってると思いますか?」

「わからない。想像もつきません。どうしてですか?」

「ぼくはその辺のただの薄っぺらい上っ面のポジティブ野郎と違って、大きな挫折を味わい尽くしているのです」

「ほう」

「言わば、スラムダンクでいえば、三井寿。
ボクシングでいえば、亀田家次男の亀田大毅。
最高から始まり、どん底を味わい、
それを乗り越え、最初の薄い最高をゆうに超え、
本物の最高を手に入れた男、それがこのわたくし、
ウワムキくんなのです」

「ほうほうほうほう」

「さらに言えば、ぼくはウツムキくんの双子の兄なのです。
3個下にはウツブセくんという、怠惰だがカワイイ弟もいますし、ウワツキくんというチャラめの従兄弟もいてます」

トクちゃんが言う。
「おお、ちょっと盛り返してきたか?
なんか強引で取って付けたっぽいけど、
さっきより断然イイ!」

揺り椅子に揺られながらカートは言う。
「これは新しい手法ととるべきか、
ルール違反、モラル崩壊。
反則すれすれととるべきか。
まあそんな下らないこと、どうでもいいけどな」

なぜこんなことするのか忘れた
たしか 笑えるからだと思う
それを見つけるのは大変だった マジで大変だった
まあ なんだろうと気にすんな


つづく

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『「フレア」か「パルス」か、それ以外』という物語を
試験的、実験的に書いています。


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