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「おかえりモネ」心の洗濯⑤〜菅波メール「洗濯」→「選択」は成長の順番

トラウマを抱えて登米に来たモネと菅波は偶然が重なり「トラウマ回復のニコイチ」として自助グループ活動(同じような傷を負う者がグループとなり、感情を共有しながら心の傷を癒していく治療)を行っています。(→詳しくはこちらのnote) 

菅波とモネは2人で過ごす時間そのものが、2人の「心の洗濯」になっています。ここではその「心の洗濯」につながる要素の中で「菅波先生の長文メールの打ち間違い」をピックアップして整理してみます。

菅波メール「洗濯」→「選択」は成長の順番

登米は洗濯機の中からモネを見上げるシーンからスタートします。この物語での「洗濯シーン」はモネと菅波が「心の洗濯」をしていて、それが進んでいる描写ととらえてよさそうです。(→こちらのnote)

この物語でモネの「心の洗濯」が進むシーンは「洗濯機」「洗濯干し」「コインランドリー」の3つです。

加えて、「洗濯」にまつわる異色なものが、最初の試験日当日、菅波のメールの打ち間違いです。

菅波メール「1問につき5つの解答例から正解を洗濯しなければなりません…」
サヤカ「「選択」が洗濯物の「洗濯になってるよ
菅波メール「「選択でした。失礼」」(28話)

これは心を閉ざしていたモネが資格試験を挑める所までモネがたどりつけたこと自体、モネが「何か行動をおこせた」象徴であり、「心の洗濯」を一歩進めることができていることを表していそうです。

登米に来る前のモネでは、何か行動を起こすことそのものができなかったはずですから。

ーーー加えて、この打ち間違いは「おかえりモネの物語の大切な要素」を整理しているのかなと考えています。

おかえりモネは「モネの心の復興の物語」でもあり、「思春期のモネが大人に成長していく物語」でもあります。

メールの打ち間違いにあった、「洗濯」と「選択」はどちらも、この物語上の「心の復興」と「思春期から大人への心の成長に欠かせない要素です。モネだけでなく全ての登場人物にとって。

ーーそれぞれの言葉が意味する内容は、

心の洗濯
 =トラウマからの回復/心の復興

自ら未来を決める選択
 =思春期から大人への健全な成長/人生の選択

ーー悩みや心の傷(トラウマ)の「心の洗濯」を終えたら、それに纏わる「選択」を自らの意思でできるようになる

その大切さと「順番」をもここで示唆していそうです。

サヤカ「「洗濯」になってるよ」
       ⇩
菅波メール「「選択」でした。失礼」」

①心の洗濯ができたら、②自ら未来を決める選択ができる。ということでしょうか。

ーーおかえりモネでは登場人物たちが「洗濯」と「選択」を終えると、次は「覚悟」を問われています。

登場人物ごとにこの流れに当てはめながら整理していくと、彼らの言動の理由やその時点での立ち位置が把握できて物語を理解しやすくなります。

●「洗濯」→「選択」→「覚悟」の流れまとめ

A)悩みや心の傷の「心の洗濯」を終えたらそれに関する「選択」ができる

B)「選択ができれば、選択したことへの「覚悟が問われる

C)その覚悟を阻むものから解放されれば、真の「覚悟ができる。

D)「覚悟」ができればその人の前向きな未来への新たな人生がはじまる

モネがこの順番でたどって成長していることはもちろんですが、幼馴染はじめ未知、菅波、莉子など登場人物みんなが、この流れで心の成長をたどっているようです。(三生のエピソードが最もわかりやすく追えます)

気仙沼編に入り、大人たちも「第二の人生」「人生のしまい方」など新たな人生の「洗濯」「選択」「覚悟」をたどり始め、そのエピソードがぶら下がりはじめていそうなので、見守っていきたいと思います。

102話では、「洗濯」「選択」をたどって寺を継ぐ「覚悟」をしっかり決めた三生がDJデビューしました。

「皆さんと一緒に人間とは何か。人生とは何か。この世に生きるとは何なのか。深く深く考えていきたい」(102話・DJ三生)

ラジオで話した三生のこのメッセージは、安達奈緒子先生が「おかえりモネ」を通して伝えたいメッセージであり、
「洗濯」「選択」「覚悟」はこのメッセージを伝える要素として機能していそうです。

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