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「おかえりモネ」〜モネがりょーちんに動かされ〈覚悟〉が決まる8週の考察

浅野忠信と永瀬廉が魂をぶつけ合う芝居を魅せた8週。8週タイトル「それでも海は」からもこの週の主人公は新次と亮だと言わんばかりでした。しかし、このエピソードの裏でモネは、亮に対してあの頃も今も「何もできない」という悔しさと無力感を突きつけられています。モネに今できることは気象予報士の資格をとって「何かできるかもしれない存在」になることしかないという思い込み。その思い込みが、迷いがあった気象予報士資格試験への覚悟になり、試験に向かって猛進させるエネルギーになっています。その経緯を整理しました。
モネの心を動かすのはいつも亮です。

気象予報士への思いが揺らぎまくるモネ(7週)

8週のモネの心情変化を追うにあたり、どんな状況でモネは8週を迎えたのか前週を振り返ります。
7週は、初回試験不合格から始まり、2回目受験→不合格、その合間にサヤカが骨折し、自動車免許の国家資格をとり、気象予報士の資格をとる意味が薄らぎ、森林組合の仕事に魅力を感じ、もう資格取得は諦めようか迷いがでる怒涛の週です。

週半ば「サヤカのそばで森林組合の仕事をしていこう」と心が揺らいでいる時、気象予報士の象徴である朝岡があらわれます。

朝岡「何もできなかった と思う人は、次はきっと、何かできるようになりたいと強く思うでしょう?その思いが、わたしたちを動かすエンジンです」

朝岡の言葉を受け、モネは再び気象予報士への興味が高まりますが、それも束の間、勉強に再度行き詰まり、やっぱり森林組合を選ぶと菅波先生に伝えます。今思い返すと7週の間に「森林組合」を2度も選んでるんですよ。

百音「でも出会ってしまって…。ものすごぐ心引かれるものに。何で今? って思います。大事なものは、今、ちゃんと目の前にある。それでいいじゃないかって思います。でも、出会う人みんながなぜか引きずり込もうとする。自分もそんな仕事があるんだ、やってみたいって、気持ちが引っ張られるんです」
菅波「だったら覚悟を決めるべきです」

菅波にたしなめられ3度目の気象予報士試験に向かって意識高く勉強を進めますが、モネの意志はまだあと一歩定まっていないようでした。


とはいえ、試験勉強の名目で帰省したモネ。「それでも海は」の8週です。
ここから細かくモネの心境の変化をたどり直してみます。

「何もできない」を再び突きつけられるモネ(8週)

モネは浮気探偵ごっこの流れで、新次がアルコール依存症の治療のため病院に通っていることを知ります。その翌日、新次は行方不明になり、酔い潰れた新次を耕治が永浦家に連れ帰ります。

ここから回想と現実が入り乱れます。表向きは、新次と耕治の過去のしがらみが明かされる内容ですが、それと合わせてモネが自分の無力さを噛み締める内容でもあります。以下8週でモネの心情変化につながるシーンを時系列に沿ってピックアップしました。

2011年船の借金問題に耕治が力を貸そうとした場面の回想

「じゃあ俺はあとあいつに何をしてやれるんだよ。何も失くしてない俺は…何ができんだよ」と耕治が呟き、
その様子をみていた2011年の百音の頬を涙がつたう。

2016年回想

朝岡「何もできなかったと思っているのは、あなただけではありません

2016年亀島 菅波先生から電話

百音「私、気象予報士試験に合格したからといって、何かできるなんて、本当は思ってないです。誰かを助けられるとか・・・。でも今はこれをやるしかないんです」

この言葉に続けて、突如、モネはよくわからないやる気を出します。

跳びます!縄跳び、5分、跳びます。

今、モネが亮のために何かできる力を手に入れるには気象予報士になることしか思いつかない。少しでも「何かできる自分」に近づくためには今電話で(菅波から)聞いた縄跳びをやるしかない。3分の縄跳びをまずは5分!漂う気迫が違います。

そして翌朝、酔いが冷めた新次が永浦家で語っている時に亮があらわれます。亮は新次に寄り添おうとするも「俺は立ち直らねぇ」と突き放され…そんな傷つく亮を目の当たりにし、モネは涙を流しています。

その後、モネの部屋で謝る亮にかけたモネの一言に亮は少しばかり救われているように感じました。

百音「何でりょーちんが謝んの。りょーちんが謝ることない」
亮「うん」

しかしモネは気象予報士の資格もないしまだ私は「何もできない」と思っている。

ここまで「何もできない」のオンパレードを受けて、その日の夜の作業小屋での姉妹の会話は、モネは「何かしてあげたいけど何もできない」から「何かできそうな未知」に亮を押し付けているように見えました。

百音「でも違くてもね…みーちゃんはりょーちんと同じ方向を見てる。
それってりょーちんはすごく心強いと思うよ」
未知「違うって言ってるのに」

翌朝…縁側で亮とモネの会話。
モネは「大切な人の大切なものを奪った水」を受け入れられずにいたけど、
その本人である亮は(新次も)その水を「恨みはない」と受け入れている。このことを知れたことも、モネが気象予報士になる抵抗がひとつなくなったと捉えて良さそうです。

亮「でもさ、海は嫌いになれないんだわ。海に恨みはない」

その後の幼馴染が集合した場面でも、
モネは「自分では亮に何もできない」から未知に亮を任せることで安心を得ています。

亮「そっか、みーちゃん水産試験場行くんだ。じゃあ俺ら海仲間だ。頑張ろうね」
未知「うん」(勉強しながらチラリと振り返り微笑む百音)

続けてその場での亮の決意表明

亮「俺らは、親たちとは違うからさ。俺は・・・おやじとは違うから。過去に縛られたまんまで何になるよ。こっから先の未来まで、壊されてたまるかっつうの! 俺らは俺らの好き勝手やって生きてく。… 急に苦手な勉強始めたっていい。俺らが、前を向くしかないんだ」

ここでモネは「何もできないのに、こんなことやってていいのかな…」という不安を亮に払拭してもらっているのではないでしょうか。気象予報士の勉強をすることを亮に肯定してもらい、何らかの形で「亮の力になるには気象予報士の資格をとりあえず取るしかない!とりたい!役に立ちたい!」と決意と覚悟を固めたんだと思います。

8週の一連のモネの心情変化は、7週 朝岡さんのセリフにつながります。

朝岡「何もできなかった、と思う人は、次はきっと、何かできるようになりたいと強く思うでしょう?その思いが、わたしたちを動かすエンジンです」

その決意と覚悟が最後の火事場のくそ力を発揮して、翌週早々に気象予報士に合格できていました。(月曜に試験→火曜に合格)

8週。新次と亮のエピソードに泣きに泣かされていましたが、その裏でモネは亮のために「何かできるようになりたい」と決意を固め直し、突き動かされている週だったと言えます。

そしてそれはもう〈愛〉です。

モネの「何もできない」「役に立ちたい」「大切な人が大切なものを失う姿」「津波見てない」「島から出たい」「島に戻りたい」の背景には必ず「りょーちん」が存在してるんです。

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登米編・東京編が終わった今、この週をまとめた理由は、この週が気仙沼に行く理由に大きくつながっているのでは?と思ったので自分のtweet整理を兼ねて。ここでの「気象予報士なら何かできるかも」の思い込み(思い違い)は気仙沼に戻ってからこの物語のひとつのキーになりそうです。

他に気になっている週は3週4週・8週・16週17週18週あたりかな。tweetしてきた内容の思考整理も兼ねて順次整理し直したいなと思っています。

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