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「おかえりモネ」あれこれ読解

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「おかえりモネ」の読解&考察集です。最終回を終えて、結末がわかりましたが、 それぞれの考察時点の見解としては特に大きく読み違えてないと思ったので、そのまま残しておきます。
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2021年10月の記事一覧

最終回を終えて〜私が思う「おかえりモネ」

個人的な吐き出し浄化目的なのでかなり冗長です。最後まで観終えてから言おうと思っていた事をツラツラ書いてます。さして内容ないです。あしからず。 総括「おかえり、モネ」と優しくタイトルを回収し、最後の主題歌とともに最大に被害を受けた及川家全員の思いを乗せた新たな船(ほぼ自腹)で出港した甲板で「行くぞーーーー!」と叫ぶ華やかな門出のシーンを飾った「及川亮」がやはり今作の朝ドラのヒロインだったなと思います。 あんな晴れ晴れとした華やかなシーンが最終回の記憶として焼きついているのに

「おかえりモネ」は『心の復興』の物語。安達奈緒子による令和版手塚治虫『ブッダ』

まず前提として、手塚治虫『ブッダ』は宗教書ではありません。お経の文は出てきません。 ーー内容は仏教を踏まえた手塚哲学・手塚イズムです。 火の鳥もブラックジャックも伝えているメッセージはほぼ同じです。 実際、手塚治虫はインタビューで『ブッダ』を「釈迦の大河ドラマを通して「人間が生きるということ」を描いた」と語っています。 ”仏教と人間が生きるということを結びつけて1つの大河ドラマ、ビルドゥングスロマン(主人公の内面的な人間形成の過程を描く作品)のようなものを描きたいと思

「おかえりモネ」〜菅波光太朗の人物像考察

「菅波光太朗」…モネと1話から登米で出会い並走している「菅波光太朗」。医者、サメ大好き、ホルン患者がトラウマ、右脳が弱い…特徴は多いですが、意外と与えられている情報が少なく人物像が漠然としています。ただ、どうみても「おかえりモネ」のキーパーソンです。 坂口健太郎が繊細に作り上げたキャラが素晴らしく愛らしく人間味を与えていて気になりにくいですが、彼の背景を読み解くことも「おかえりモネ」を理解するのに避けて通れないと考えたので、深掘りし、整理していきたいと思います。 菅波光太

「おかえりモネ」〜菅波のカウントダウンを読み解いてみた

トラウマを抱えて登米に来たモネと菅波は偶然が重なり「トラウマ回復のニコイチ」として自助グループ活動(同じような傷を負う者がグループとなり、感情を共有しながら心の傷を癒していく治療)を行っています。(→詳しくはこちらのnote) 菅波とモネは2人で過ごす時間そのものが、2人の「心の洗濯」になっていいると考察を重ねてきました。 その中で、ずっと気になっていたことがあります。 菅波はモネと東京で一緒に過ごす時間をカウントダウンしがちだということ。そして洗濯機の表示が妙に印象に残る

「おかえりモネ」〜モネにとっての太陽

おかえりモネは「水の循環」のお話です。 龍己「その山の葉っぱさんたちが、海の栄養になんのさ。山は海とつながってるんだ。なんも関係ねえように見えるもんが、何かの役に立つっていうことは、世の中にいっぱいあるんだよ」百音「じゃあみんな誰かの役に立てんの?」 何度も何度も繰り返される「水の循環」を説明するセリフから、「そこにいるだけでみんな誰かの役に立っている」ことが、この物語で最も伝えたいことのひとつだと感じています。 その「水の循環」で、大切な役割を担っているのが「太陽」で

「おかえりモネ」〜黄色・ロゴ・主題歌…散りばめられた「そこにいるだけでいい」とのメッセージ

おかえりモネは「水の循環」の物語です。 龍己「その山の葉っぱさんたちが、海の栄養になんのさ。山は海とつながってるんだ。なんも関係ねえように見えるもんが、何かの役に立つっていうことは、世の中にいっぱいあるんだよ」百音「じゃあみんな誰かの役に立てんの?」 何度も何度も繰り返される「水の循環」を説明するセリフから、 「そこにいるだけでみんな誰かの役に立っている」ことが、この物語で最も伝えたいことのひとつだと感じています。 そのメッセージを伝えるために「おかえりモネ」全話通して

「おかえりモネ」心の洗濯①〜『五常訓』は心のバランスが大事!との教え

トラウマを抱えて登米に来たモネと菅波は偶然が重なり「トラウマ回復のニコイチ」として自助グループ活動(同じような傷を負う者がグループとなり、感情を共有しながら心の傷を癒していく治療)を行っています。(→詳しくはこちらのnote)  菅波とモネは2人で過ごす時間そのものが、2人の「心の洗濯」になっています。ここではその「心の洗濯」につながる要素から『五常訓』をピックアップして整理していきたいと思います。 『五常訓』はバランスが大事!との教え まずは、1話からサヤカと毎朝唱えて

「おかえりモネ」心の洗濯②〜『コップの実験』は溢れ出した心の傷

トラウマを抱えて登米に来たモネと菅波は偶然が重なり「トラウマ回復のニコイチ」として自助グループ活動(同じような傷を負う者がグループとなり、感情を共有しながら心の傷を癒していく治療)を行っています。(→詳しくはこちらのnote)  菅波とモネは2人で過ごす時間そのものが、2人の「心の洗濯」になっています。ここではその『コップの実験』シーンをピックアップして整理していきたいと思います。 「心の洗濯」=「トラウマ回復」≒「心の復興」 です。 『飽和水蒸気量』は抱えられる心の容

「おかえりモネ」心の洗濯③〜『手当て』は心の治療『熱伝導』は効果効能

トラウマを抱えて登米に来たモネと菅波は偶然が重なり「トラウマ回復のニコイチ」として自助グループ活動(同じような傷を負う者がグループとなり、感情を共有しながら心の傷を癒していく治療)を行っています。(→詳しくはこちらのnote)  菅波とモネは2人で過ごす時間そのものが、2人の「心の洗濯」になっています。ここではその「心の洗濯」につながる要素の中で「手当て・熱伝導」をピックアップして整理してみます。 『手当て』は治療の基本〜からだの痛みに対して東京編から、物語の登場人物によ

「おかえりモネ」心の洗濯⑤〜菅波メール「洗濯」→「選択」は成長の順番

トラウマを抱えて登米に来たモネと菅波は偶然が重なり「トラウマ回復のニコイチ」として自助グループ活動(同じような傷を負う者がグループとなり、感情を共有しながら心の傷を癒していく治療)を行っています。(→詳しくはこちらのnote)  菅波とモネは2人で過ごす時間そのものが、2人の「心の洗濯」になっています。ここではその「心の洗濯」につながる要素の中で「菅波先生の長文メールの打ち間違い」をピックアップして整理してみます。 菅波メール「洗濯」→「選択」は成長の順番 登米は洗濯機の