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伏見デルタと私(5) ーバイク教習奮闘記ー


いよいよ卒業検定の時間がやってきた。

検定を受ける人々が伏見デルタのロビーを埋め尽くし、
なんだか異様な緊張感が漂う中…
端っこに立っていた私に、1人の女性が他愛ないことを
話し掛けてきてくれた。
返事をしたあと尋ねると、その人もこれから検定を受ける
メンバーの1人だった。
二往復程度の会話をしたところで、説明会が始まる時刻になり
全員がぞろぞろと教室へ移動した。


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注意事項などの説明を受けて自分のゼッケンをもらい、
外に出てそれぞれに自分の順番を待つ…

普通に教習を受けている人たちに混じって、
検定を受ける人も同じようにコースを走る。
先生方も気をつけてくれてて、検定を受ける人を優先的に
走らせてくれるのだけど、タイミングによっては微妙な
プレシャーがあったりもするので緊張感が走る。
見ていると、クランクでこけちゃって途中で検定中止に
なってしまった人も居たり(´-`)

コースを眺めていると肩をトントンと叩かれ、
振り向くと先ほどの女性が立っていた。
「緊張するね」と、その女性は少し笑った。
グループは違うけど順番が近くて、その人が検定を
受けたあとすぐに、私の順番がやって来た。

2階にある教官室から名前を呼ばれて、バイクのところへ。
ぉぉ、今までに乗ったことがなかった色の、
比較的新しい感じの綺麗なバイクである。ラッキー☆
調子良く走ってくれそうで、ちょっと嬉しくなる。

バイクのスタンドを起こして跨がる時が、一番緊張する。
それをなんとか無事にクリアしてスタートし、まずは外周を一周する。
あれれ? なんかヘルメットのシールドがおかしいぞよ・・・
なぜに風圧でガタガタするのだ?
あらら、、、コレ、シールドが片方壊れてブラブラしてるやん(*゚Д゚)
視界にシールドが斜めになったままプラプラして、めちゃくちゃ邪魔。
壊れてるヘルメットなんて初めてなのに、なんでよりによって大事な
検定の時にそれに当たってしまったのか(涙)

だけど、我慢して走るしか無いのである・・・
まずは急制動。
うぁ〜、なんかちょっとブレーキ掛けるのが早かった気がする。
そして坂道発進。うぁ〜〜、エンストしてしまったやん(´-`)
クランクとS字はコケずに走れた。でもやっぱり、ウインカーは
戻せなかった・・・
スラローム、問題なし。得意だもんね。
一本橋、ちょっと速かったよね、、、
まあでも途中で落ちなくて良かった。

ともあれ、コケずに戻ってきて無事にバイクを止めて降りる
ことが出来た。
乗る時と同じく、降りる時にもめちゃくちゃ緊張するのである。
それにしても自分的には色々とマズかったので、コレは落ちた
かもしれないと落ち込みつつ検定終了のお辞儀をした。

検定員室に呼ばれたので行こうとしたら、あの女性が待ってて
くれて、「受かったよ」と嬉しそうに言った。
「良かったね」と私が笑うと、私のことも「受かってるから、
早く行っておいで」と言うので、なんだか訳が判らないまま
先生のところへ行く。

「スラローム、○○秒でした。問題ないです」
「はい」
「一本橋、○○秒でした。これはどうですか?」
「ぇ?Σ(゚Д゚;≡;゚д゚) ちょっと速かったかな…」
「そう、速いですね。あとウインカー消し忘れ」
「はい、指が届かなくて…」
「合格ですよ」
「ぇ?Σ(・ω・ノ)ノ!! 合格で、いいんですか」
「合格ですから。ゼッケン返してね」
「ありがとうございます(*゚Д゚)」


下に戻ると、なんと彼女がまだ待っててくれてたので
「受かってた(^^)」と伝え、思わずハグし合った。

卒業式まで2時間あったので2人でカフェに行き、
待っててくれたのが嬉しくて、缶コーヒーを御馳走する私。
誰も居ないカフェで、自己紹介やら教習での苦労話しやら
色々なことを話した。
S字を走ってる時に彼女は、よろけたけどコケたくないから
そのままコースの外の草むらにバイクごと飛び出したことも
あったとか(*゚Д゚)
はみ出す勇気とか、そもそもそういう選択肢があったなんて、
私には想像もつかなかったのでビックリしたけど面白かった(笑)
彼女は教習がプレッシャーで逆流性食道炎になってしまい、
なんと5kgも痩せたとのこと(´-`)
一石二鳥だったねとか、今となっては笑えるのだけどね・・・

「クラッチ握る指が痺れて痛かったり」
「私は、何度も足を着いてる内につま先が痛くなって」
「うんうん」
「でも、カカトから着けば良いんだと気付いたんですよ☆」
「そうそう、先生にソレ教えてもらった♬」
「ぇー、私は教えてもらってなくて、昨日自分であみだした
 技なのに(笑)」
なんというレベルの低さかな…(*´ー`)

彼女のおかげで待ち時間があっという間に過ぎた。
いつも1人もくもくと教習を受けていたけれど、
最後の最後に友達が出来るなんて、すごく不思議だなあ…

ちなみに、教習生の中で女性はやはり少ない。
一度に30人弱ほどの人数で教習を受けるのだけど、
女性は大体いつも4人〜8人くらいでした。
年齢層は、20代〜50代と幅広い感じだったな。
外国の人もチラホラ混ざってはりました。
ネットで伏見デルタについて書かれている記事を読むと、
「ヤンキーが多い」というものも多い気がしたけれど…
私が居た時は、別にそんなことも無かったような?
一度、スーツ姿で教習を受けてた人を見かけました。
でも、うちの夫も以前、大型の免許取得に向けて
仕事帰りに教習所へ通っていたので、そういう姿の人は
夜になればもっと多いのかもしれない。



「泣いたらどうしよう(笑)」と言う彼女と共に教室へ戻り、
卒業証書を無事に貰った。(2人とも泣かなかったけど)
今までに教わったことのない知らない先生だったにも関わらず
耳が良く無い私の顔をちゃんと見て、目線を合わせながら
名前を呼んで下さったので、密かに感動してしまった。

説明がビデオの場合は文書になっている物を渡して下さったり、
伏見デルタさんでは(いきなり「さん」づけ)、ハンデを持つ
私の存在を忘れず、置いてきぼりにならないようにどんな場合も
しっかりとした対応をして下さり、おかげさまで卒業まで
辿り着くことが出来ました。
本当にありがとうございました。

卒業の時のアンケートにも書きましたが、親切に親身に
対応して頂いたこのご恩は一生忘れません。



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ご挨拶をして別れを惜しみつつ、送迎バス乗り場に向かう。
ふと見ると、お迎えに来られた旦那さまと彼女が、フェンス越しに
まだ教習を受けている人たちの様子を仲良く眺めてらした。
旦那さまはとても優しそうな方で、彼女がこれからバイクに乗る時
には車で後ろをついてきてくれるらしい、、、と話して笑ってた(^^)

早く卒業したくてたまらなかったけど、もうここに来る事も無いのかと
思うと、なんとも言えず寂しくなった。

ぃゃ、伏見デルタは実は、卒業してからでもまた行けるのですよ。
機会を見てまた行きたいな〜と、密かに思っております。
近かったら、バイクの起こし方の練習をさせてもらいに行くのにな…


そう、なんとか伏見デルタを卒業することは出来たのだけど、
実はまだまだ課題が残っているのであった(´-`)


(つづく)


有料になっている写真は、自分でも特に気に入っているものを選んでおりますので、もしも気が向かれましたら覗いてみて下さい(^^)