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「どこかで会った誰かのようなstories」「うさぎくんは自転車を走らせる」「うさぎくんと自転車」「QとKと平和の種」「ビルドストーリーズ」「彼女の空模様はインコンプリート」
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2020年4月の記事一覧

「雨の空に告ぐ」

雨の空に告ぐ 誰も泣かせるな 試練などと たやすく口にしたくない 笑えなくていい ここにいさせてくれるなら あの子の 幸せを願わせてくれるなら ラ・カンパネラに酔えないなら きっとほろびてゆく 打ち明けることが何もないなら きっとはぐれてゆく ラ・カンパネラに酔えるなら きっとほろびない 打ち明けることが何かあるなら きっとはぐれない 「助け合う」は 助けてもらうことを当たり前にしやすい 喜ばれようとすることは 好かれようとすることに変化して異臭を放つようになる

「人生は100年の祈り」

人生は100年の祈り 100年の春と 100年の夏と 100年の秋と 100年の冬を祈ろう 少年だった 少女だった 君たちは今ごろどこにいるだろうか  あやふやなまなざしは 足もとを見るのが精一杯だった 深い森の中の迷子のように 100年の中でいくつ花が咲くだろう 100年の中でいくつ星が降るだろう 子どものころに 探していた 逃げ道はあれから見つかっただろうか 人生は100年の祈り 100年の春と 100年の夏と 100年の秋と 100年の冬を祈ろう 幼かった

「ラヴィアンローズ(lavie en rose )」- 彼女の空模様はインコプリート

#詩 彼女の空模様はインコプリートvol.4 インコプリートなラヴィアンローズ 使い間違えたセレンディピティ 明日はきっと時代の遅れのチェックメイト 話の腰を折りたがっているね 変な接続詞で! まるで怪訝(けげん)なミュージカルヒロイン 運命は格差を埋めたがっているね 計算ミスの反動で! いつも10歩ほど間に合わない 考えすぎたあとは缶コーラー 架空のマーケットでオードブル選びを楽しもう ゴミの日は火曜日 図書館はたまに不意な休館 陰暦の空模様 陽暦の国の年表

「彼女はホンモノのモナリザに会えるのだろうか?」

彼女の空模様はインコプリートvol.8 嘘が上手になりすぎて 彼女は彼女の どれが嘘だったか 自分でわからなくなっている 生まれたままの真顔で 微笑みを探している 作った笑顔で 微笑みを探している 人生の自動扉がスーッと開く そこは分別ゴミステーションのようだった 彼女は彼女自身では選ばない場所に 足を踏み入れてゆく 誰かの干渉が 支配に変わるのを恐れて 運命に吐き気がしている 1つ季節を拒んだ 2つ季節を拒んだ 真冬からの逃亡に成功しても 愛せなかった風景を