女性向けマンガ・ドラマでやたら「溺愛」が目立つ

前回、異世界転生系ジャンルの考察を書いたが、女性向け異世界転生系のラノベのタイトルにはやたら「溺愛」の2文字が目立つ。

そもそも溺愛とは、年齢や身分が上の者が、下の者を可愛がり、人目もはばからずにとことん甘やかすことだが、実際、異世界転生系ラノベでは王子や伯爵等が身分の劣る女主にぞっこんに惚れ込んで、ぶれずに愛し抜き、一方、女主は初めは男主の思いに気づかなかったり、愛せなかったりするが、段々とほだされていく、というパターンが多い。

最近私がはまっている中国ドラマも、何か溺愛系が多いなあ、と思う。(と言っても、たいして数は観ていないので、限られた試聴経験から独断で言っているだけだが。)

蒼蘭訣や星漢燦爛は男主がとんでもない美形で、女主は美人は美人だが、絶世な美女ではなく、視聴者が感情移入しやすい庶民的な顔立ちであり、あきらかに女性視聴者をターゲットにしている。もちろん、男性が観ても十分面白いドラマだが。どちらも、男主が早くから女主を溺愛して世話を焼き、自分の命にかけても女主を守り抜く。対して女主はもっと冷静で、徐々に男主の思いに応えていく。

あと、日本の小説も中国のドラマも、女主は男主に一方的に溺愛され守られるだけの存在ではない。女主は自分の意見を堂々と述べるし、賢さや特殊能力の持ち主だったりするので、女主も男主を助け、守り、領民や国民などのために献身的に働き、彼らから絶大な支持を受ける。

日本の異世界転生系小説と中国ドラマが特に影響を与え合っているわけではないだろう。つまり、現代の女性の願望は海を超えて同じで、イケメン男性に溺愛されたい、でも、あくまで対等な関係でありたい、身分の高い男性の彼女や妻としてその威光にすがるのではなく、自分自身の才能や能力を開花させて自己実現をしたい、皆んなに敬愛されたい、という願いがフィクションにも反映されているのではないだろうか。

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