古い地図
Youtubeを見ない日はないと言ってもいいほど1日に何時間もYoutubeを観ている。なので私は、登録者が10万人未満の発展途上のYoutubeチャンネルなども数多く知っているのである。その発展途上のチャンネルの中で、特に私が注目している「雷獣」という灘高校出身の20代男子三人組のチャンネルがある。
このチャンネルのメンバー3人は、現在Youtube界を席巻しているグループYoutuberとは一線を画す存在なのである。Youtuberと聞いてイメージするような派手な髪色やデカい声、目立つテロップ、個性的な挨拶などの要素はこの「雷獣」チャンネルにはない。動画開始と同時に本題を発表し、そこから淡々とメンバーが自己紹介を済ませ、10秒後にはスムーズに本題に入る。近年のテンプレート化されたYoutuberの動画の構成とは異なる、シンプルで斬新な導入である。またこのチャンネルのジャンルはお笑いに近いのではあるが、お笑いと言っても即興の漫才なのである。毎回何かしらの大喜利などの企画があり、それに基づいてメンバー3人が会話をしまくるという構図なのだが、この会話中でのボケとツッコミの応酬は時に芸術レベルまで達しているのである。やはり灘高校出身のメンバーで構成されているだけあり頭の回転が恐ろしく早く、キラーパスとも思えるボケにも間違いなく的確なツッコミを平気で入れてくるのである(メンバーは誰がボケで誰がツッコミかといった役割は固定されておらず、各人の役割は流動的に変化する)。
私が特に衝撃を受けたボケとそのツッコミを紹介する。ある動画内で、国民的アイドルグループSMAPに元々在籍していた森氏が話題に上がった時、メンバーが「え、古い地図?」というボケを唐突にかましたことがあった。「このボケはどういうことだ?」と私も理解が追いつけていなかったが、すぐさま雷獣のメンバーが「いや森・中居・木村のユニットとかないから!それ新しい地図の逆~!」と突っ込んだのだった。解説すると、元SMAPの稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾が3人で活動するときの活動名義で「新しい地図」というものがあるので、新しい地図の対義語である「古い地図」は稲垣・草彅・香取以外のメンバーからなるという解釈であり、以下の図のような関係が成り立つ。
稲垣・草彅・香取=新しい地図 ⇔ 古い地図=森・中居・木村
この関係を一瞬で見抜いてツッコめるという驚異的な頭の回転の速さを雷獣のメンバーは全員持っているのである。この「雷獣」チャンネルのもつ感性がぶっ刺さる人は少なくないだろう。
そんな「雷獣」チャンネルの動画で、毎年12月に清水寺で発表される「今年の漢字」の話になった。特に話題に上がったのは2010年の「今年の漢字」が「暑」であったことだ。このことに対して雷獣メンバーは「今年の漢字が『暑』っておかしくない?」と10年前の出来事に疑問を呈したのだ。なぜなら今年の世相を表す漢字が「暑」であれば一年中暑いような意味合いになりかねないが、当然一年は夏があれば冬があり、夏がいくら暑かろうと寒い冬が来るのだからおかしいのだという。それに加え、「今年の漢字」が清水寺で発表される時期は思いっきり冬である12月であり、その時期に「そういえば今年暑かったな〜」など覚えているはずがないからであるという。この何事に対しても疑問を持ち、かつ何かしらの根拠を提示するという姿勢は私も身につけていきたいものだ。ちなみに私の予想する「今年の漢字」は、新型コロナウイルスが世間に与えた影響から「病」である。
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